大谷翔平が卒業“進学校ではない”花巻東から東大合格者、スタンフォード…なぜ逸材続出?『ドラゴン桜』作者が語る佐々木洋監督「ある強み」
メジャーリーグでプレーする菊池雄星と大谷翔平、2021年には同校初となる東京大学合格者、そして今年はスタンフォード大まで……逸材を生む花巻東(岩手)とはどんな高校なのか。同校硬式野球部の佐々木洋監督や大谷翔平と親交があり、漫画『ドラゴン桜』『クロカン』『砂の栄冠』などのヒット作を手がけてきた漫画家の三田紀房先生に聞いた。〈全2回の2回目/第1回も配信中〉 【レア写真】「大谷翔平18歳“半そで夏服の制服姿”でニコリ」「垂れ幕がスゴイ…花巻東の校舎」「部室に貼られた紙(格言)が心に刺さる…」現地カットを一気に見る ――三田先生は高校野球漫画も描かれていますし、高校球児への取材経験も豊富です。菊池雄星や大谷翔平とも交流があります。これまで出会ってきた球児と比べても、高校時代に140本塁打を放った麟太郎選手には特別な印象を抱いていますか。 三田 個人的な感想ですが、わりと普通、なんですよね(笑)。これまでも甲子園で活躍したスーパースターを、その年の秋や冬にインタビューする機会がありました。たとえば、斎藤佑樹さんとかですね。彼らと比べても、麟太郎君が飛び抜けた発想を持っているとか、奇抜で他の球児とは違うなとか、そういう印象はないんです。受け答えもいたって普通ですからね。
花巻東はいつから変わったのか
――先生は度々、花巻東の球児を「良い意味で田舎っぽさが残っている」と話されていますが、麟太郎選手もそうした垢抜けない印象をお持ちですか。 三田 まあ、そうですね。ただ、花巻東も昔と比べれば相当に“進化”しているんですよ。江釣子村(現北上市)の出身で、黒沢尻北高校から国士舘大に進み、横浜隼人でコーチを務めていた佐々木洋さんが2002年に監督に就任し、2005年夏に甲子園に出場した。その頃は、「岩手では勝てるかもしれないけれど、甲子園(全国)では勝てないだろうな」という印象だった。相手からしたらぜんぜん怖くないんですよ。ノーアウトでランナーが出たら、バントで送ってヒット一本に期待するんだけど、そのヒットが出ないから1点も入らない、みたいな(笑)。強豪校からしたら付け入る隙の多い野球だった。当時、私も日刊スポーツでそのような批評を書いて、佐々木監督もそうとう頭にきたみたいですけどね。 ――その後、2009年春のセンバツで、菊池雄星を擁して準優勝を果たしました。田舎の野球から脱却したきっかけはあったのでしょうか。 三田 どうしたら甲子園で勝てるか、佐々木監督なりに勉強したんですよね。(2004・2005年夏に全国制覇を達成し、3年連続で決勝に進出した)駒大苫小牧を率いた香田誉士史監督(現・駒澤大学監督)の大きな影響を受けて、実際に薫陶も受けた。ボール回しやカバーリングなど、駒大苫小牧の野球をテンプレートにしてチーム作りをし始めた。これがちょうど雄星君の頃です。そこから“全力をアピールする野球”というのをおそらく佐々木監督は目指したんじゃないかな。以来、花巻東の選手たちはそこまで全力疾走しなくても良いと思うぐらいに、一塁を駆け抜けるじゃないですか。最近こそ落ち着いてきましたが、とにかく我武者羅に野球をやるというチームカラーに変えた。すると少しずつ全国でも勝てるようになっていった。
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