居場所づくりやひきこもり対策…耕作放棄などの解消も見据えて 稲作で世代超え交流 長崎・佐世保市社協の「つながる農園」
長崎県佐世保市社会福祉協議会が本年度から新たに取り組む地域支援のモデル事業「つながる農園」がスタートした。同市世知原の山間部で、農業に関心のある人たちが世代を超えて稲作をして、交流する。居場所や生きがいづくり、ひきこもり対策など福祉分野をはじめ、耕作放棄など地域課題の解消も見据えている。 田植えを終えた田んぼをバックに写真に納まるプロジェクトメンバーと佐世保市社協スタッフら 農園プロジェクトのメンバーは地元農業者4人、農協の元営農指導員1人、市社協が運営する保育園。この5人と1団体に加えて事務局の市社協が主体となって田植え、稲刈り、収穫祭を企画・運営する。ひきこもり当事者の支援団体などにも参加を呼びかけ、人と人が「つながる農園」を実現する。無農薬のアイガモ農法を取り入れている。 農地(16アール)や肥料、農機具は農業者が準備し、アイガモを放つまでの飼育は保育園が担当。こうした費用は収穫したコメの販売益を充てることで持続可能なモデルを目指す。 6月1日の田植えには、市内の親子連れも含めて約50人が参加。泥の中に入って一直線になり、苗を一つ一つ丁寧に植えた。 市社協が目指すのは、行政機関に依存せず、地域の課題を地域で解消する「コミュニティービジネス」という仕組み。世知原での取り組みが軌道に乗るまでサポートし、そこで築いたモデルを他地域の耕作放棄地などにも応用したい考えだ。 市社協地域福祉課の江口宝大(たかひろ)係長(41)は「まずは人がつながる『居場所』を確保したい。農業以外の地域課題にも幅広く取り組んでいきたい」と抱負を語った。(重川英介)