おせち離れに一手? 昨年初登場の「1000円台」が好評、2025年の新作に「叙々苑」なども
■ 若年層に向け「定番以外」に注力
「大丸梅田店」(大阪市北区)で9月12日、「2025年 大丸・松坂屋のおせち」のお披露目会が実施され、新作&初登場のおせちが登場。「おせち離れ」が進む昨今、同百貨店からは従来の「和風おせち」のジャンルを越えたオリジナルの個性派おせちが顔をそろえる。 【写真】新しいおせち?「スイーツおせち」は1万円超えも… 2025年は「慶びのシェア」をテーマに、伝統食やおせち文化に触れる機会が増えるよう、幅広いシーンや目的にあった466種(前年は440種)で展開。特に「人気料理人らとのコラボおせち」「予約のとれない名店の贅沢おせち」「年末年始を彩る個性派メニュー」の3要素を強化し、48種が初登場となる。 同百貨店のおせちの売上動向は、2023年度・売上1位の料理研究家・大原千鶴氏が監修したおせちなど、著名人や名店とタッグを組んだ限定企画品が年々人気の傾向に。今年は更なる新規客向けに、「定番おせち」枠にとどまらないメニューも取り入れ、担当者は「おせち離れが進みつつある30~40代以下の方にも、今までと違う切り口で楽しんでもらえれば」と話す。 初登場の「しあわせおせち」(2万1600円)は、SNSの総フォロワー数が100万人超えのインフルエンサー・ぐっち夫妻とコラボ。昔ながらのおせちとは異なる「新感覚」を意識し、シナモン香る栗きんとん、黒豆のマスカルポーネ&クリームチーズ和えといった和洋折衷の個性的な味わいが魅力だという。 肉を存分に味わいたいなら、高級焼肉店「叙々苑」が初めて手がける「焼肉おせち」(3万7800円)も。商品開発から3年越しで完成した逸品で、1枚ずつ丁寧に焼き上げたサーロインなど5種が入り、あわび粥付き。肉の柔らかさを堪能できるよう真空パックの冷凍おせちで、贈答品にもおすすめという。
■ 1080円の「おためし」、昨年は約30分で完売
さらに、予約が困難な人気店による豪華絢爛な初登場のおせちもスタンバイ。焼きすっぽんやフォアグラ最中が入る「銀座しのはら」監修「和風おせち」(3万7800円)、紅ズワイガニや北陸の幸が詰まった「一本杉 川嶋」監修「和風おせち」(4万2000円)は厳選素材をふんだんに使用。近年は食全体が物価高の傾向にあるが、コロナ禍以降は自宅で正月の特別感を楽しむ「本物志向」が高まっているという。 おつまみ、スイーツ、ペット用といったジャンルを超えた多彩なおせちもそろい、担当者は「昔のように元旦にこだわらず、年末年始1週間の食卓に並べられるものも。例えば酒場詩人・吉田類さんが監修する大人気シリーズ『おつまみ玉手箱』は酒の肴にぴったりで大晦日の昼から楽しむ人が多いようです」と話し、今年はワイン向きに特化したおせちや鍋もの、梅田店限定の3段に詰めたおはぎも提案する。 昨年から始めた新作をひと足先に試食できる「おためしおせち」(1080円)は全国12店舗で販売。前回の東名阪3店舗での限定販売は約30分で売り切れる好評ぶりで、今年は有名店らの16品が詰まった内容に。「大丸梅田店」では9月20日・朝10時から昨年より数を倍にし200折限定で販売される。「大丸・松坂屋のおせち」の販売は公式オンラインストアで9月20日・昼2時~、店頭では10月1日~。 取材・文・写真/塩屋薫