「Path of Exile 2」アーリーアクセス先行プレイレポート
「Path of Exile 2」は、ニュージーランドのGrinding Gear Gamesが開発するオンラインアクションRPGだ。2013年にリリースされた前作「Path of Exile」は、数々のアップデートを重ねながら、今なお多くのプレイヤーを魅了し続けている。 【画像】ゲームが始まるタイミングで前作同様のマウス操作での移動か、今作から追加されたWASDキーでの移動のどちらで操作をするかが選べる。個人的なオススメはWASDを使った移動スタイルだ 「Path of Exile」シリーズは、日本で言うところの「ハクスラ」(ハックアンドスラッシュ)要素を持ったアクションRPGだ。見下ろし視点で繰り広げられる戦闘、キャラクターの成長要素は多岐にわたり、レベルアップによるステータス強化はもちろん、独自のスキルシステムとパッシブスキルツリーにより、プレイヤーごとの個性的な戦い方を実現する。 何より、本シリーズがプレーヤーを惹きつけ続けるのは、その高い自由度にある。ベースとなるクラスは存在するものの、その先にどのような装備を選び、どんなスキルを習得し、いかなるパッシブスキルを取得するか。それらの選択によって、同じクラスであっても全く異なるキャラクターへと成長させることができるのだ。 そういったエッセンスを引き継ぎつつ、遊びやすく、そして歯ごたえがあるゲームプレイを提供してくれるのが「Path of Exile 2」だ。今回は12月7日4時開始のアーリーアクセスに先立ち、ゲームを一足早くプレイできたので、そのレポートをお届けしていく。 ■ 進化したアクションシステム! WASDキーでの移動が可能になり直感的なプレイがより楽しめるように 「Path of Exile 2」で最も印象的な進化は、アクション性の大幅な向上だ。前作「Path of Exile」ではキーボードでの移動には対応しておらず、マウス操作での移動になっていた。戦い方のスタイルによるが、マウスの左クリックを移動に割り当てるプレーヤーが多かったと思う。だが、本作では同じハクスラ系アクションRPGで一般的なマウス中心の操作に加え、WASDキーによるキャラクター移動も可能だ。ゲーム開始時に好みの操作方式を選べるほか、キャラクター選択画面に戻ればいつでも切り替えが可能だ。 筆者はいつも通りの感覚でマウスでプレイしようと思っていたのだが、ボスモンスターとの戦闘では、この新しい操作系の真価が発揮された。広範囲に及ぶ攻撃パターンや、執拗にプレイヤーを追いかけてくる近接攻撃、フィールド全体に展開される魔法攻撃など、多彩な攻撃を的確に回避しながら反撃をすることが求められる。WASDキーを使ったキャラクター移動に慣れているので、その方がより直感的にプレイできるという印象だ。 さらに、本作ではスペースキーによる回避アクションも追加されている。咄嗟の危機を回避する手段として非常に有用だが、ただ闇雲に使えばよいというわけではない。回避中は攻撃が出来ず、敵に囲まれた状況で使うと、かえってピンチを招くことにもなりかねない。こうした新要素の追加により、プレイヤーの判断とテクニックが求められるのだ。 とはいえ、こうした操作方式の優劣は、プレイスタイルによって異なるかもしれない。筆者は今回主にウィッチの召喚ビルドやマーセナリーの遠距離攻撃ビルドを試したので、敵の攻撃を回避することに重きを置いたプレイスタイルが上手くハマっていたが、近接戦闘を得意とするビルドでは、マウスに集約した方が上手く操作ができるかもしれない。そこは切り替えながら自分にとってしっくりくる方を試したいところだ。 ■ ビルド変更の自由度が向上! クラスごとに用意された異なるスタイルの切り替えが手軽に 「Path of Exile 2」における大きな魅力の1つとして挙げられるのは、キャラクターの育成、強化の自由度にある。ベースとなるクラスは存在するものの、そこから先の成長の方向はプレイヤーに委ねられている。 同じクラスを選んでも、大まかにどんな戦い方をするかで、どのパッシブスキルを獲得するかは変化が生まれる。どれを優先して獲得するか、逆にどこを諦めるか。この、宇宙のように広がるパッシブスキルツリーから、最終的なキャラクターの方向性にあわせて特化するか汎用化させるかだけでも自由度が高い。 まだアーリーアクセス版ということで、実装されていないスキルジェムも多かったが、装備毎に複数のスキルジェムが用意されており、それぞれに使えるサポートスキルがある。クロスボウで言えばボルトを打つスピードが上がったり、1度に2本のボルトを打てるようにしたり、状態異常効果を与えやすくするサポートスキルもある。これらの組み合わせだけでも方向性の幅を感じられるのではないだろうか。 そして、本作には「アセンダンシー」という特別な成長要素もある。これはビルドをより特徴付けるシステムで、このアセンダンシーで戦い方が大きく決まる。加えて、スキルジェム、パッシブスキルなどが絡み合い、ビルドの幅が生まれていくのだ。 例えば、筆者が今回プレイしたウィッチの場合、召喚したスケルトンを主力として戦うビルドを選択した。だが、同じウィッチでも、強力な魔法を直接放つことに特化することも可能だ。また、もう1つプレイしたマーセナリーでは遠距離からボルトを撃ち込むスタイルを採用したが、これも近接武器で戦うというビルドの方向性も存在する。 ゲームを進めていくことで解放できる「アセンダンシー」にて、その方向性をより突き詰めていくことができるというわけだ。 本作では、このような多様な育成の可能性をより追求しやすくなっている。後述するが、スキルジェムの自由な組み合わせやパッシブスキルの振り直しやすさは、新たなビルドの挑戦を後押ししてくれる。失敗してもすぐリカバリーができるので、大胆な挑戦ができるのだ。 そして、この自由度の高さは単なる「好きなように育てられる」という以上の意味を持つ。というのも、「Path of Exile 2」の世界では、様々な局面で異なるアプローチが求められるからだ。ある戦い方が通用しない場面に遭遇したとき、プレイヤーは新たな戦い方を模索することになる。その過程で、キャラクターの持つ可能性を再発見し、さらなる成長の方向性を見出すことができる。 この「試行錯誤」と「発見」のサイクルこそが、本作のキャラクター育成を魅力的なものにしていると言えるだろう。 ■ 装備のスキルジェムスロット撤廃などビルド構築の制限が緩和! より遊びやすく快適に シリーズのファンにとって、最も注目すべき変更点の1つが「金貨」システムの導入だろう。一見すると当たり前に思えるこのシステムだが、実は前作には存在しなかった概念なのだ。 前作では、それ自体が効果を持つ「カレンシーアイテム」が通貨として流通しており、NPCとの取引もプレイヤー間の取引もすべてこれで行われていた。だが、今作では街の商人との取引が金貨を介したものとなり、シンプルで分かりやすいシステムへと進化している。 これに伴い、前作で存在していた「ベンダーレシピ」(特定の組み合わせでアイテムを売ることでグレードアップしたアイテムが入手できる仕組み)も廃止されているようだ。なお、カレンシーアイテム自体は従来通りの効果を持つアイテムとして残されており、プレイヤー間取引ではどのようになっていくかは気になるところだ。 また、スキルシステムにも大きな変更が加えられた。前作では装備品のソケットに「スキルジェム」を装着することでスキルを使用できたが、今作ではこれが独立したシステムとなっている。 装備とは別に用意されたスロットにジェムを装着することで、より自由度の高いスキル構成が可能になった。さらに、前作で存在していたソケットの色による制限も序盤では確認できず、メインスキルとサポートスキルの組み合わせがより柔軟になった。装備の制約を気にすることなく、理想とするスキル構成を実現できるようになったのだ。 パッシブスキルの振り直しシステムも改善されていた。ゲームを進めていくと町に専門のNPCが登場し、金貨を支払うことでパッシブスキルの振り直しが可能となる。 前作では特定のカレンシーアイテムが必要で、序盤からはパッシブスキルの振り直しを気軽に試せるものではなかったが、今作では金貨を支払えば試行錯誤が可能だ。 実際に筆者も、ボス戦で行き詰まった際にビルドを変更することで、あっさりと突破できた経験がある。この改善により、より多くのプレイヤーが様々なビルドを探求できるようになっているのはポジティブな変更点だろう。 スキルシステムとパッシブスキルの改善は、相乗効果を生んでいる。装備に縛られないスキル構成と、気軽に試せるパッシブスキルの振り直し。これにより、プレイヤーは自身のビルドを自由にトライできるようになった。 もちろん、サービス開始から時間が経つにつれて上級者が考案した効率的なビルドガイドに従うプレイヤーも増えるだろう。一方で、自分なりのビルドを試行錯誤できる余地が大きく広がったことは、本作の大きな魅力の1つと言える。 「Path of Exile 2」は、前作の魅力を継承しつつ、大きな進化を遂げている。高いアクション性を新たに獲得しつつ、シリーズの真髄である「カオス」とも呼べるほど自由度の高いパッシブスキルツリーや、無限の可能性を秘めたスキルジェムとサポートジェムの組み合わせは健在だ。そして、それらはより洗練され、より多くのプレイヤーが試行錯誤を楽しめるものへと昇華されている。 このジャンルの醍醐味は、自分だけのビルドを作り上げ、それを強化していく過程にある。キャラクターを育て、理想の装備を揃え、より強大な敵に挑戦する。そしてまた新たな強化の可能性を見出し、さらなる高みを目指していく。「Path of Exile 2」は、そんな終わりなきループにプレーヤーを誘ってくれる。 アーリーアクセス段階ではACT3までがプレイ可能だが、それだけでも十分なボリュームだ。高い難易度は、シリーズのベテランプレイヤーにも満足のいく挑戦を提供するはずだし、新規プレイヤーにとっても、最適化された操作性と分かりやすくなったシステムにより、その深い戦略性を存分に楽しめるだろう。 ぜひ、尽きることのない試行錯誤と、歯ごたえのある戦闘を楽しんでほしい。「Path of Exile 2」は、“2”の名前を堂々と冠した、前作以上に奥が深く幅も広いハクスラ沼をプレーヤーに提供してくれるからだ。 (C) 2010 - 2024 Grinding Gear Games
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