【遺族年金の今後】「結局、誰がもらえるの?」今こそ知りたい遺族年金の仕組み
2024年7月30日、厚生労働省で「第17回社会保障審議会年金部会」が行われました。 ◆【写真5枚】遺族厚生年金について。2枚目以降、遺族厚生年金受給対象者の優先順位などを掲載 注目の集まっていた「遺族年金」に関しては、男女差が是正されて一律で受給期間が5年になる見込みです。 配偶者が亡くなった時に生計を維持されている方が受給できる遺族年金ですが、なかなかその全貌を知る機会は少ないかと思います。 今回は、遺族年金について改めて詳しくみていきましょう。 ※編集部注:外部配信先ではハイパーリンクや図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
検討されている「遺族年金」とは
遺族年金とは、国民年金や厚生年金保険の被保険者または被保険者であった方が亡くなった時に、その方に生計を維持されていたご遺族が受けることができる年金です。 遺族厚生年金と遺族基礎年金があり、亡くなった方の年金の加入状況によって、いずれかまたはその両方を受給することができます。 遺族年金が受給可能か判断される基準は、亡くなった方の年金の納付状況や遺族年金受給対象者の年齢や収入などの条件を満たすことです。 遺族年金では、子や孫については要件があります。 18歳年度末までの子(孫)、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態の子(孫)が対象となります。 次の章では、厚生年金保険の被保険者に関わる「遺族厚生年金」について解説していきます。
厚生年金保険の被保険者に関わる「遺族厚生年金」
厚生年金保険の被保険者だった方が、一定の受給要件を満たす場合、亡くなった方によって生計維持をされていた遺族が遺族厚生年金を受給できます。 支給要件と対象者はそれぞれ以下のとおりです。 ●「遺族厚生年金」受給要件 いずれかを満たしている方が亡くなった時に受給できます。 1.厚生年金保険の被保険者である時に亡くなった 2.厚生年金の被保険者期間に初診日がある病気やけがが原因で、初診日から5年以内に亡くなった 3.障害厚生(共済)年金1級または2級を受け取っている時に亡くなった 4.老齢厚生年金の受給権者であった方が亡くなった 5.老齢厚生年金の受給資格を満たした方が亡くなった ・1と2に該当する場合:亡くなった日の前日において保険料納付済期間及び保険料免除期間が国民年金の加入期間の3分の2以上あることが要件(2026年3月末までは、亡くなった方が65歳未満であれば、亡くなった日の前日において、亡くなった月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がなければよい)。 ・4と5に該当する場合:保険料納付済期間、保険料免除期間など、合算対象期間が25年(300月)以上ある方 ・1~3に該当する場合:報酬比例部分の計算で、厚生年金の被保険者期間が25年(300月)未満の方は、300月とみなして計算されます。 ●「遺族厚生年金」受給対象者 亡くなった方によって生計を維持されていた方のうち、最も優先順位の高い方(上位の方)が受給対象者となります。 ・子のある配偶者 ・子(子のある妻または子のある55歳以上の夫が遺族厚生年金を受け取っている間、子は遺族厚生年金を受給することができません) ・子がいない配偶者(子がいない30歳未満の妻は、5年間のみ受給、子がいない夫は55歳以上である方が受給できますが、受給開始は60歳からとなります。遺族基礎年金を同時に受給できる場合に限り、55歳から60歳の間であっても遺族厚生年金を受給することができます) ・父母(55歳以上である場合に受給できますが、受給開始は60歳から) ・孫 ・祖父母(55歳以上である場合に受給できますが、受給開始は60歳から) ●「遺族厚生年金」の受給額 亡くなった方の厚生年金の報酬比例部分の4分の3が受給額となります。 例:65歳以上で老齢厚生(退職共済)年金を受ける権利がある方が、配偶者の死亡による遺族厚生年金を受け取るとき ねんきん定期便などに記載の金額を目安に、老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3となります。 なお、夫が亡くなった時、40歳以上65歳未満で、生計を同じくしている子がいない妻や遺族厚生年金と遺族基礎年金を受けていた子のある妻は、子が18歳の年度末になった時は、中高齢寡婦加算年額61万2000円(2024年価格)が加算されます。 次の章では、国民年金の被保険者に関わる「遺族基礎年金」について解説します。