【遺族年金の今後】「結局、誰がもらえるの?」今こそ知りたい遺族年金の仕組み
国民年金の被保険者に関わる「遺族基礎年金」
国民年金の被保険者であった方が、受給要件を満たしている場合に支給されます。 亡くなった方によって生計を維持されていた、子のある配偶者または子が、遺族基礎年金を受け取ることとなります。 ●「遺族基礎年金」受給要件 以下のいずれかを満たしている方が亡くなった時に受給することができます。 1.国民年金の被保険者である間に亡くなった 2.国民年金の被保険者であった60歳以上65歳未満の方で、日本国内に住所を有している方が亡くなった 3.老齢基礎年金の受給権者であった方が亡くなった 4.老齢基礎年金の受給資格を満たした方が亡くなった ・1と2に該当する場合、亡くなった日の前日において保険料納付済期間及び保険料免除期間が国民年金の加入期間の3分の2以上あることが要件です(2026年3月末までは、亡くなった方が65歳未満であれば、亡くなった日の前日において、亡くなった月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がなければよい)。 ・4と5に該当する場合、保険料納付済期間、保険料免除期間など、合算対象期間が25年(300月)以上ある方 ●「遺族基礎年金」受給対象者 亡くなった方によって生計を維持されていた方のうち、最も優先順位の高い方(上位の方)。 ・子のある配偶者 ・子 ●遺族基礎年金の額:子のある配偶者が受け取る場合 ・1956年4月2日以後生まれの方:81万6000円+子の加算額 ・1956年4月1日以前生まれの方:81万3700円+子の加算額 ●遺族基礎年金の額:子のある配偶者が受け取る場合 次の金額をこの数で割った額が、一人当たりの額となります。 81万6000円+2人目以降の子の加算額 ・1人目および2人目の子の加算額:各23万4800円 ・3人目以降の子の加算額:各7万8300円
改正検討案のポイント
子がいる世帯の遺族厚生年金については現行制度のままですが、子がいない世帯には影響が出てきそうです。 現在の年金制度では、夫が亡くなり30歳未満の子がいない妻には5年間の遺族厚生年金のみ、30歳以上の子がいない妻の遺族厚生年金は終身の給付となっています。 また、妻が亡くなった場合、55歳未満の夫は遺族厚生年金が発生せず、中高齢寡婦加算については、寡婦のみとなっており、制度上の男女差が発生しています。 中高齢寡婦加算や寡婦年金についても段階的な廃止が検討されているようです。 女性の就業の進展や共働き世帯の増加等、社会経済状況の変化や制度上の男女差を解消していく観点を踏まえて、子がいない配偶者に対する遺族厚生年金の見直しが検討されています。 今後の動きにも注目していきたいところです。
参考資料
・日本年金機構「遺族年金」 ・日本年金機構「遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)」 ・日本年金機構「遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)」 ・日本年金機構「遺族年金ガイド 遺族基礎年金・遺族厚生年金の仕組み」 ・厚生労働省「遺族年金制度等の見直しについて」
香月 和政