広瀬すず、25年2月公開映画「ゆきてかへらぬ」主演 巨匠・根岸吉太郎監督×田中陽造氏が40年前に執筆した〝幻の脚本〟の大作「本当に体力のいる役でした」
女優、広瀬すず(26)が2025年2月公開の映画「ゆきてかへらぬ」に主演することが25日、分かった。日本映画界をけん引してきた根岸吉太郎監督(73)と脚本家、田中陽造氏(85)の巨匠コンビが16年ぶりにタッグを組んだ大作。2人の男の間で愛に狂う実在した女優、長谷川泰子を演じた演技派は「本当に体力のいる役でした」と全身全霊でぶつかった。 【写真】16年ぶりにメガホンを執った根岸監督の現場を体感し、笑みを浮かべるすず 同世代の役者を代表するすずが、2人の巨匠が紡ぐ世界で新たな魅力を開花させる。 「ゆきてかへらぬ」は、大正時代を舞台に長谷川泰子、詩人の中原中也、評論家の小林秀雄という3人の出口のない三角関係と壮絶な青春を実話をもとに描く作品。タイトルは病床の中原が小林に託し、他界後に刊行された詩集「在りし日の歌」に収められている一篇の詩から付けられた。 メガホンを執ったのは2009年の「ヴィヨンの妻~桜桃とタンポポ~」でモントリオール世界映画祭の最優秀監督賞に輝き、10年に紫綬褒章を受章した根岸監督で、今作が16年ぶりの長編映画。脚本は「ツィゴイネルワイゼン」「セーラー服と機関銃」など数々の名作で異彩を放ち続けてきた田中氏で、日本映画界をリードしてきた2人が「ヴィヨンの妻―」以来16年ぶりにタッグを組む注目作だ。 脚本は40年以上前に書かれ、多くの監督たちが映画化を熱望しながら実現することがなかった〝幻の脚本〟として知られる。今回は5年の準備期間を経て、黄金コンビとすずの初タッグにより、ついに銀幕でお披露目されることが決まった。 まっさらで潔い泰子を生きたすずは「大正というモダンな時代を自由にというか、必死というのか、無謀に駆け抜けた女性。本当に体力のいる役でした」としみじみ。昨年1月期のTBS系「夕暮れに、手をつなぐ」などでラブストーリーには挑戦してきたが、今作では2人の天才の愛に狂わされる泰子の生きざまを赤裸々に体現しており、見守った根岸監督は「奥深いところで役を捉え、まるで泰子という主人公に憑依したかのよう。誰も見たことのない泰子の『広瀬すず』がここにいます」と絶賛している。 トップランナーの現場に身を置いたすずは「監督の体力が一番すごかったです」と感嘆。「根岸監督の映画づくりというものを、この目で見て、体感して、とてもぜいたくでした」と振り返っている。