奈良県立美術館は日本人有料、外国人無料? 廃止済みの制度【ファクトチェック】
奈良県立美術館の観覧料について「日本人は有料で外国人は無料」という情報が拡散しましたが、誤りです。以前はそのような制度がありましたが、山下真知事が2024年4月に廃止しました。
検証対象
2024年12月14日、「奈良県立美術館 日本人は有料 外国人は無料」という情報が拡散した。 投稿は「奈良県知事は売国奴!?」「元・朝日新聞記者だった奈良県の山下知事が来年韓国との交流イベントを予定している」などのテロップが入った動画付き投稿を引用している。 2025年1月6日現在、この投稿は6100件以上リポストされ、表示回数は60万回を超える。投稿について「普通は逆(笑)」「終わってます」というコメントの一方で、「一応、山下知事は止めた側です」などの指摘もある。
日本ファクトチェックセンター(JFC)は、奈良県立美術館が日本人は有料で外国人は無料なのかを検証した。奈良県公式サイトの県立美術館のページでは、観覧料について以下のように掲載している。
観覧料の下には、「次の方は無料でご観覧いただけます」と記載して例外を挙げている。 外国人に関連するのは「奈良県外国人支援センターが発行する留学生向けパスポートを所持する方」であるが、外国人全員が無料になるわけではない。 奈良県のウェブサイトによると、山下知事は2024年3月13日の定例記者会見で、同4月1日から「美術館、万葉文化館、民俗博物館、橿原考古学研究所附属博物館において、外国人観光や海外からの長期滞在者への観覧料免除を廃止する」と説明。理由について「多くの場合、来館して初めて外国人が無料であるとわかるため外国人観光客を増やすということに繋がらない」などと述べている。 NHKが2024年3月8日に配信した記事「県立美術館 外国人旅行客の観覧料無料を見直し4月から有料に」では、この制度は2014年からあった。当時の奈良県知事は、前任の荒井正吾氏で山下知事が作った政策ではない。
判定
奈良県立美術館などの観覧料で、外国人観光客らが無料だった時期もあったが、2024年4月から山下知事が有料化を決定した。したがって誤りと判定した。 検証:リサーチチーム 編集:藤森かもめ、野上英文、古田大輔、宮本聖二 判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。