ウーバーイーツユニオン執行委員長に再任。3期目となるこれから1年の目標は?【チャリンコ爆走配達日誌】
連載【ギグワーカーライター兼ウーバーイーツ組合委員長のチャリンコ爆走配達日誌】第74回 ウーバーイーツの日本上陸直後から配達員としても活動するライター・渡辺雅史が、チャリンコを漕ぎまくって足で稼いだ、配達にまつわるリアルな体験談を綴ります! * * * 2019年10月にウーバーイーツ配達員で結成された組合「ウーバーイーツユニオン」。毎年10月に開催される総会で執行委員長(代表のようなもの)や書記長、執行委員など、さまざまな役員を決めています。今年の10月も総会が行なわれ、私が執行委員長に選ばれました。 初めて選ばれたのが2022年なので、これで執行委員長3期目となります。 同じ人間が長い間、上のポストに居座ると、集められた組合費の私的流用など、私腹を肥やすのではないか。このコラムを読まれている方の中にはそんなことを疑う方もいると思います。 そのお気持ちはよーくわかります。正直、私自身はだらしのない人間なので、私腹を肥やせるチャンスがあるならガンガン肥やしたいです。ただ、組合員は20名程度、組合費は月500円なので、少しでもお金を抜いたらバレてしまいますし、私的流用してウハウハになる額ではありません。 2022年に東京都の労働関係の問題を裁定する東京都労働委員会から「労働組合」と認められました。ですが現在は厚生労働省の中央労働委員会で争っているため、会社側との団体交渉など一般的な会社の「労働組合」ならできる権利がまったくない状況で、法律で認められる「力」のようなものもありません。 今回は、そんなお金も力もない組織の執行委員長3期目の目標を綴っていこうと思います。 以前、「『ウーバーイーツユニオン』執行委員長が明かす、ゆるい組合活動の実態」で書かせていただいた通り、大きな志を持って組合に入ったわけではないので、個人的な目標は「現状維持」。月に1回、オンラインで行なわれる定例会で、配達中に起こった理不尽なことや配達料が下がっている現状をグチり合ったり、商品を受け取りに行った時に見つけたおいしそうな店の情報を交換したりしながら、ダラダラと続けられたらと考えています。 会社側との争いが終わるまでは、おそらく会社に対していろいろアプローチをかけても拒否されるので(配達料が下がったタイミングなど、年に何回か会社側には団体交渉の要望を出していますが、すべて拒否されています)、現在争っている中央労働委員会や裁判所から「労働組合である」と認められるまでは、組織として長く続けられることを優先させたほうがいいのかなと思っています。 ストライキなどの労働組合で認められているものを行なうことは厳しいですが、組合のメンバーから、こんな活動をしたいというリクエストがあれば、少ないメンバーでもできることはやっていきたいと思います。 そして一番大きな目標は、「ウーバーイーツユニオンは労働組合である」という自分達の主張を中央労働委員会に認めてもらうことです。 2022年11月に東京都労働委員会の命令が出てから2年。中央労働委員会での争いもいろいろ進んでいて、私への証人尋問も行なわれそうな様相となっております。また、東京都労働委員会に訴えたのが2019年の暮れで命令が出たのが2022年秋と3年ほどだったことを考えると、中央労働委員会の裁定も現在の執行委員長の任期には出るのではないかと予想しております。 中央労働委員会の裁定は、その後、裁判へ進む場合でも重要なものとなるので、今期は執行委員長として証言台での発言や、このコラムでのうかつな発言などに気をつけて活動します(と言いながらも「私腹を肥やしたい!」とぶっちゃけてしまいましたが)。 また、証言台で発言をしたり、中央労働委員会で裁定が出て記者会見などをすることがあったら、あれこれ書いていこうと思います。 文/渡辺雅史 イラスト/土屋俊明