白峰の空き家、ホテルに 築100年以上の2棟改修 住民有志らの会社、2日にオープン
白山市白峰地域の住民有志やゆかりの人たちでつくる会社「YOSITAI(よしたい)」は、同地域の築100年以上の空き家2棟を改修し、「古民家ホテル」として整備した。重伝建(重要伝統的建造物群保存地区)の街並みが広がる白峰で空き家の再生は大きな課題で、付加価値を高めたリノベーションで誘客や関係人口の増加につなげる。2棟とも11月2日にオープンする。 【写真】「せんにょも棟」=白山市白峰 宿泊施設に改装したのは、長く衣料品店やクリーニング店として使われた横長の家屋と、20年以上空き家で重伝建の「保存すべき建物」に選定されている1棟。改修後、古民家の屋号からそれぞれ、「ゆう棟」と「せんにょも棟」と名付けた。 YOSITAIは各所有者から空き家を取得し、昨年秋に改修事業に着手した。今夏までに工事を終え、その後は内装や調度品を整えていた。 古民家ホテルは付加価値の高い空間やもてなしを提供し、宿泊費を1泊2食付きで1人3万3千円程度に設定する。地元の旅館や民宿に比べて2倍以上の価格帯で差別化を図る。白峰の山の幸をふんだんに使った料理や地域に伝わる文化、歴史体験を通じて利用客の満足感を高める狙い。 ゆう棟は2組が宿泊でき、1階にレストラン、2階に客室を配置。せんにょも棟は1棟貸しとする。 2022年の白峰の人口は675人で、02年の1173人から4割以上減った。生産年齢人口はほぼ半減し、過疎化や高齢化の進展に伴う地域の活力低下が懸念されている。空き家の増加とともに、豪雪地帯ゆえに家屋の倒壊を恐れて住民が地域を離れる際に家を取り壊すケースも目立ち、重伝建の街並みの保全も課題となる。 白峰の方言で「ありがとう」を意味する「よしたい」。山口隆社長(白峰観光協会長)は「今後は空き家を宿泊だけでなく、交流施設や地域が必要とする用途にも再生したい。感謝の気持ちを持って、白峰の生活や文化を守り継ぐ」と話した。