みんな警戒しているハズなのにそれでも盗まれる! 第2世代GT-Rが窃盗団の超人気銘柄なワケ
第二世代GT-Rばかり盗まれるワケ
自動車盗難の認知件数は、ピーク時の2003年から毎年2桁の減少率で推移してきたが、2022年に微増に転じてしまった。そして去年、2023年上半期(1~6月)には前年同期比2.8%増の2869件と2022年を上まわったと警察庁は発表している。 【画像ギャラリー】2024年にアメリカの25年ルールが適応される人気の国産スポーツカー 被害の多い車種をみると、相変わらずランクル、プリウス、レクサスLX、アルファード、レクサスRXとトヨタ車が上位を占めているが、その裏で、第二世代の日産スカイラインGT-R(R32、R33、R34)、マツダRX-7(FD3S)、トヨタ・スープラ(80)、ホンダのタイプR系、それに三菱ランエボ、スバル・インプレッサSTIなどの、1990年代のスポーツカーの盗難も多発している! とくに第二世代GT-Rの被害の多さは見過ごせないほど。 X(旧Twitter)などをみると、GT-R盗難車の情報提供を求める投稿があとを絶たない。先日も某レンタカー会社のR34GT-Rが盗まれてしまい、大きな話題となった。 なぜ第二世代GT-Rばかり狙われるのか? その1番の理由は、依然として人気が高く、高値で売れるから。 とくにアメリカには、25年ルール(製造から25年以上経過したクルマは、右ハンドルでもクラシックカーとして登録できるという制度)があり、今年はいよいよ1999年デビューのR34も25年ルールをクリアしはじめる。
分解して売ればお金にもなってバレない!
もともと第二世代GT-Rは、海外にほとんど輸出されていなかったので希少性が高く、なおかつ映画「ワイルドスピード」や、世界的に人気な「グランツーリスモ」などゲームソフトの影響で、ハイパフォーマンスであることが知られているので、海外では新車時の倍以上の値段で取引される例が多い。 もちろん国内でも人気が高く、パーツが高騰しているので、クルマを盗み、分解し、パーツ単位にしてインターネットで売れば足もつきにくく、大きな儲けになるということで、窃盗団に狙われやすいのだ(解体することが前提だと、盗み方も大胆かつ乱暴な方法になる傾向がある)。 さらに、R32やR33などには純正のイモビライザーもついておらず、セキュリティが甘い。R34にはイモビライザーが標準化されたが、正直言って安心度は低い。GT-Rを狙う犯罪者は、プロの組織化された窃盗団がほとんどなので、純正イモビライザーだと簡単に破られてしまうからだ……。 ほかにもエアバッグが少なく(あるいはない)、電子制御がシンプルで解体しやすいのも、窃盗団には魅力的な要素となっている。 オーナー側の自衛手段としては、なんといってもバイパーやクリフォードなどの後付けのセキュリティを実績ある専門ショップでインストールすること。この手のセキリュティはもはやしっかり施錠をするのと同じぐらい必須といってもいいぐらいだ。 また、クルマを離れるときは、たとえ敷地内であったとしても必ずハンドルロックなどをすることを習慣にしたい。 あとは、アップルのAirTagやココセコムなどのGPS発信器も常時クルマに積んでおきたいところ。さらに、車両保険を見直して、中古車の実勢価格に見合った補償額になるよう、代理店と交渉するのも重要だ。 ちなみに、自動車盗難の都道府県別認知件数は、千葉県、愛知県、茨城県、大阪府、埼玉県の上位5府県で全体の58.5%を占めているので、これらの地域のユーザーはとくに注意が必要。 自動車盗難の発生場所も、「一般住宅」がもっとも多く、令和4年は全体の38.9%となっているので、セキュリティ対策の強化は喫緊の課題といっていいだろう。 なお、自動車盗難の検挙率は、令和4年で45.6%。まだ半数にも届いていないのが現状だ……。 新型コロナが5類に移行するまでは、移動制限(とくに海外)もあり、犯罪グループも鳴りを潜めていた面もあるが、今後は活発化してくる可能性があるので、1990年代のスポーツカーオーナーは警戒感を一層高めることをおすすめしたい。
藤田竜太