なぜ渋野日向子は8打差逆転の奇跡V&賞金1億円突破を果たせたのか?
あのフレーズが唐突に頭に浮かんだ。 「マー君、神の子、不思議な子」 そして。 「シブコ、神の子、不思議な子」 女子ゴルフの「デサントレディース東海クラシック」の最終ラウンドが22日、愛知県美浜町の新南愛知CC美浜Cで行われ、渋野日向子(20、RSK山陽放送)が8打差をひっくり返す大逆転で国内ツアー3勝目を挙げた。2002年「広済堂レディスカップ」の藤野オリエの11打差に次ぐツアー2位タイの8打差逆転。劇的すぎる勝利に、元プロ野球楽天監督、野村克也氏が、ルーキーイヤーの田中将大投手(現ヤンキース)を評したときの言葉を思い出した。 最終日は最終組の7組前の20位タイからのスタートだった。時間にして1時間10分も前のティーオフ。「優勝はほぼ無理」と渋野自身も諦めていた。しかも、最終組は賞金ランキング2位の渋野に2000万円近い差をつけてトップを走る申ジエ、同ランキング3位で今季2勝のイ・ミニョン(ともに韓国)、そしてツアー通算16勝のテレサ・ルー(台湾)という実力者の3人。3位で最終日を迎えたテレサ・ルーとも4打差があった。常識的には逆転は考えられなかった。しかし、1時間以上のスタート時間の差が劇的Vの大きな要因の一つとなった。 渋野は4番(パー3)からの3連続など前半のアウトは4バーディー、ボギーなしの32。後半のインも2つのパー5できっちりスコアを伸ばすなど同じく4バーディー、ボギーなしの32で64をマークした。ツアーでの自己ベストを2打更新する猛チャージ。ただ、優勝までのピースはまだまだ足りなかった。 申ジエとのスタート前の差は8打。実は、その差を埋めただけでは、もし申ジエが一つでもスコアを伸ばしていたら優勝には届かなかった。しかし、奇跡が起きた。 パープレーでもプレーオフだった元世界ランキング1位は、バーディーなしの2ボギーで74とまさかの失速。台風17号の影響で、渋野のホールアウトを待つように降り始めた雨と、急激に強くなった風に優勝への道のりを断たれた。