獣医師が教える、ペットのもしもに備える《かきくけこ》「飼い主のマナー・責任」「キャリーケース」「薬・ごはん」「健康管理」「行動・しつけ」
『婦人公論』8月号(7月15日発売)では、「豪雨、地震、台風……今すぐ見直すわが家の防災」という特集を組み、自然災害への備えについて特集しました。そのなかから、選りすぐりの記事を配信します。 ***** 日本でペットを飼っている家庭は、全体の2割ほど。だからこそ、動物を連れての避難はまだまだ容易ではありません。熊本地震を経験した獣医師が、飼い主が準備しておきたい「もしもに備える『かきくけこ』」を伝授します(構成=島田ゆかり イラスト=青山京子) 災害に備え、飼い主がペットのためにできること * * * * * * * ◆【か】飼い主のマナー・責任 身元がわかるよう、首輪に連絡先のタグをつけておくほか、マイクロチップも装着しておきましょう。 散歩の必要がない猫にはリード、ハーネスはなくてもOK。 逆に、逃げ出したときにがれきなどに引っかかってケガをする原因になりかねません。
◆【き】キャリーケース 避難時に活躍するのがキャリーケース。ハードタイプ、布製、リュックなどがありますが、普段からハウス(寝床)として使えるハードタイプがおすすめ。 避難グッズを丸ごと入れて移動できるカートも便利です。 犬や猫はもともと狭い穴ぐらが落ち着く場所なので、避難所だけでなく、在宅避難の場合でもキャリーケースから出さないこと ◆【く】薬・ごはん(備蓄品) 持病がある場合は1ヵ月分の薬を用意しておく。 神経質なタイプには処方薬の安定剤や、不安対応のサプリメント「ジルケーン」などの準備をしておくとよいでしょう。 災害時は不安やストレスからごはんを食べなくなるペットが多いため、フードの備蓄は1ヵ月分で十分。 むしろ、ペットシーツや猫砂などは1ヵ月分より多めに準備しておくと◎
◆【け】健康管理 災害時はストレスにより体調を崩しやすいため、感染症のリスクも高まります。 ワクチン接種やノミ・ダニ予防、狂犬病の予防注射などに加え、定期的に健康診断を受けてペットの体調に気を配っておきましょう。 また、普段からスキンシップを行い、異変に気づきやすくしておくことも大切。 避難中は、不安やストレスから体調を崩したり、下痢や嘔吐をしたりすることも。そのため、落ち着いたら動物病院で健康状態を確かめておくようにしましょう ◆【こ】行動・しつけ 犬には「待て」や「おすわり」、吠えない、噛まないなどの基本的なしつけをしておくこと。ほかの犬に慣らしておくことも大切です。 猫はトイレのしつけと、キャリーケースを嫌がらないようにしておきましょう。 犬猫共通なのは、家族以外の人に日頃から会わせたり、定期的に病院に連れて行くなどして、環境の変化を経験させておくことも大事 (構成=島田ゆかり)
徳田竜之介