魔のΩカーブ付近では餌食になるクルマだらけ! 死亡事故率ワースト1になんども上がる「名阪国道」がヤバすぎる理由
名阪国道は昔から危険といわれていた
名阪国道は、全国の危険な道路としてその筆頭に挙がる国道のひとつ。とくに奈良県側、福住ICから天理東ICまでの約10kmの区間は通称Ω(オメガ)カーブと呼ばれ、西日本エリアでもとくに事故が多発することで有名な危険地帯だ。この場所がヤバいといわれる理由をわかりやすく説明しよう。 【画像】名阪国道で起こった多重事故 まずは古い道路設計が問題だ。 全長約73kmもあるのに名阪国道が高速道路にならなかったのには歴史的な理由がある。昭和40年(1965年)12月の開通当時、日本はまだ高速道路網の整備途上だった。名阪国道は自動車専用の一般道路として作られ、開通以来、重要な幹線道路として使われてきたが、道路幅や設計速度で高速道路の基準を満たすことができなかった(準高速道路として特例設計)。 その大きな要因がΩカーブで、高低差400mのこの区間は、工期を短縮するためにトンネルを掘らずにいかに道路の高低差を緩和するかを考えて生まれた。それゆえ、勾配は自動車専用道路の限界といわれる6度のエリアもある。そのため、予想以上に車速が乗るため、60km/hの制限速度を超えやすい。当然、速度超過はクルマの安定性を損ない、カーブでの制御が難しくなり、遠心力でクルマが外側に振られ、コースアウトするリスクが増すというわけだ。 さらに曲率半径が小さく、ブラインドカーブが続くため、前方で起きている事故や渋滞に気付きにくい。ゆえに2次的な追突も起こりやすい。
昔よりはマシになったが……
次に、交通量の多さが事故を引き起こす要因だ。 名阪国道は東(三重県亀山市)と西(奈良県天理市)を結ぶ主要な幹線道路なので、多くのトラックや観光バスが行き交う。朝夕のラッシュアワーや連休には渋滞が発生しやすく、交通量が多いことで追突事故が頻発する。多重事故もたびたび起こっている。 気象条件も無視できない。名阪国道は山間部を通るため、霧や雨、雪などの悪天候に遭遇しやすい。とくに冬は路面が凍結し、制動距離が延びて事故が増え、霧やゲリラ豪雨などで前のクルマや道路が見えにくくなることもしばしば。天気予報や交通情報も当てにならない場合も多い。となれば、当然ながら衝突事故が起きやすくなる。 ちなみに名阪国道は事故多発地点として全国的にも有名で、自動車専用道路10kmあたりの死亡事故発生件数は何年も連続してワースト1位を記録している。2019年の統計によれば、全体では年間約300件の事故が発生。そのうちΩカーブ付近では年間50件以上と約20%。つまり、Ωカーブが危険なことに変わりないが、事故は全域で起こっているのだ。 また、線形がまるで高速道路であるかのような作りのため、100km/hを超えるスピードで爆走するクルマが絶えないこと、現在は廃止や改良が加わり、安全性は高まったが、昔のサービスエリアやパーキングエリアの加減速車線が短かったことも事故発生の理由のひとつだった。 これらの要因が絡み合い、名阪国道の事故発生率は高い。ドライバーは十分に注意し、速度制限を守り、車間距離を保って運転することが大切だ。事故を減らすためには、道路の改良や交通規制の強化が必要ではあるが、現在のところ難しいので、安全運転を心がけることが一番の特効薬なのは間違いない。
山崎真一