「44年経てのMeToo」…光州抗争での性暴力被害者たち、公開証言に立つ
国会で初の証言大会
「私はまだら模様の軍人の服を見ただけで耐えられません。性暴力した戒厳軍が思い出されて…。双子の息子にも『絶対に軍隊には行くな』と頼んで、義務警察として除隊しました」 チェ・ギョンスクさん(71)は1980年、妊娠3カ月で性暴力の被害にあった日のことを昨日のことのように生々しく思い起こした。20代での被害は、彼女のその後の人生のすべてに絡みついていた。チェ・ミジャさん(62)、キム・ソノクさん(66)、キム・ボクヒさん(63)も同じだった。「半分泣いて、話は半分。すみません」。チェ・ギョンスクさんが涙を拭いながら話すと、客席からは彼女を応援する拍手があふれた。 30日にソウル汝矣島(ヨイド)の国会図書館講堂で行われた「5・18(光州抗争)性暴力被害者証言大会―勇気と応答」では、2時間にわたって涙と拍手が交互にあふれた。5・18民主化運動真っただ中の光州(クァンジュ)に投入された戒厳軍などが振るった性暴力の被害者が、300人あまりの人々の前に顔と名をさらして立ったのは、今回が初めてだ。 1980年当時は18歳だったチェ・ミジャさんは、「知り合いのお姉さんの家に行く途中で」戒厳軍に強制わいせつされ、銃剣で胸を突かれて肺まで負傷した。チェさんは、生理直前の胸が張っている状態で感じたその時の痛みが今も忘れられない。「40年あまりの間、毎月生理の前に胸にしこりができる度に、あの時のことが思い出されてつらかった」。チェさんは「夫に被害が知られるのではないかと怖かった。結局は離婚することになった」として、「今は被害当事者だけでなく、すべての人がこのような被害を知るべきなので、証言大会に出てきた」と話した。 2018年にハンギョレとのインタビューで性暴力被害にあったことを、被害から38年を経て明らかにしたキム・ソノクさんは、「(被害を公にしてから)私は裸で投げ出された感じ、あらゆる人に『あの女、性暴力を受けたんだって』と言われているようなトラウマを抱えた」とし、「忘れかけたころに調査委の調査を受けなければならなかったし、そのストレスで卵巣がんとも判定された」と語った。そして「初めて5・18民主化運動に参加したことを後悔したりもしたが、今は自分の人生に少しでも時間が残っているなら、私が打ち上げたボールが成果を生むのを見たい」と言って涙を流した。 この日、証言に立った被害者たちは、昨年12月の5・18民主化運動真相究明調査委員会(以下、調査委)による「真相究明決定」で、国家権力の任務遂行過程で反人道的犯罪の被害にあったことが認められた。にもかかわらず、再び「心に秘めて思い出したくなかった過去を証言」(キム・ボクヒさん)するために勇気をふりしぼったのは、国レベルの賠償・補償、名誉回復、治癒に向けた対策が不明確だからだ。 26人の性暴力被害者は昨年、「5・18民主化運動関連者の補償などに関する法律(5・18補償法)」に則り、光州広域市に補償を申請したが、適正な被害の救済を受けられるかは断言できない。5・18補償法の所管省庁である行政安全部は今年4月、性暴力被害に対しても既存の補償基準(身体障害およびその障害でどれほど労働力が失われたかにより、1~14等級に分類)を適用することを決めた。しかし光州女性家族財団のキム・ギョンネ代表理事は、このような政府の措置について「性暴力の特殊性が理解できていない発想」だとし、「40年が過ぎた今、身体障害の程度を立証するのは難しいうえ、国家暴力と性犯罪は当事者と家族に大きな精神的、社会的苦しみを残す」と語った。 5・18調査委で性暴力事件を調査したユン・ギョンフェ元チーム長も、「性暴力は被害者の過失だという通念が今より強い時代に被害にあった人々は、学業や経済活動をやめて望まない人と結婚したり、結婚を最初からあきらめて故郷を離れたりもした。このような影響を反映する補償基準はない」と指摘した。現在の補償基準は失明、手足の機能の喪失などの身体への被害が中心で、精神的被害の反映は限定的なため、性暴力による複合的被害が扱えないというのだ。 被害者たちは今年8月に「ヨルメ(結実)」という名の会を自ら立ち上げ、被害救済などの後続対策のための法改正要求や、国を相手取った損害賠償請求訴訟などの共同対応に乗り出した。この日の証言大会に参加したソ・ジヒョン元法務部デジタル性犯罪等対応タスクフォース(TF)チーム長は、「5・18の性暴力被害者12人が、私の『MeToo』で勇気をふりしぼったという連絡を受けた瞬間を、どのように言葉で表現できるだろうか。国は私たちを無視したが、私たちは手をとり合って助け合ったのだなと思う」とし、「国の役割はこのように勇気を出した被害者に責任ある措置、再発防止措置を取ること」と強調した。 「ヨルメ」代表のキム・ボクヒさんは、「性暴力被害の真相究明がなされたにもかかわらず、国から何の責任も聞けず失意の内にある会員が多くいる」として、「今や国が苦しむ被害者を支えるべき時」だと述べた。 キム・ヒョシル、チョン・インソン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )