現行ハイエースの登場から20年！ 次期ハイエースはどうなる？

　トヨタ「ハイエース」は商用車としての用途に加え、アウトドアや車中泊を楽しむ一般ユーザーからも高い支持を受けるワンボックス型バンです。 　 　日本市場では、2004年に登場した5代目（200系）が20年販売されている一方で、海外ではすでに6代目の300系ハイエースが登場しています。 　 　しかし日本ではその300系をベースにした「グランエース」という大型ワゴンが販売されていたものの、300系ハイエース自体は導入されていません。 　 　そんななか2023年10月に開催された「JAPAN MOBILITY SHOW 2023（以下JMS2023）」で、トヨタ車体が次期「ハイエース」を示唆する斬新なモデルを世界初公開しました。 【画像】超カッコいい！ これが「新型ハイエース」!?（61枚）

次期ハイエースを示唆するトヨタ「GLOBAL HIACE BEV CONCEPT」とは？

　そのクルマとは「GLOBAL HIACE BEV CONCEPT（グローバル ハイエース BEVコンセプト）」です。 　同車は電動化が進む自動車業界において、新たな可能性を切り開く次世代BEV（バッテリーEV）バンとして、未来的なデザインと機能性、そして広大な室内空間を兼ね備え、あらゆる用途に対応できる柔軟性を備えています。 　ボディサイズは全長5280mm×全幅1950mm×全高1990mm、ホイールベースは3210mmと、室内空間の広さを重視した設計が際立っています。 　室内は長さ3490mm×幅1715mm×高さ1270mmにも及び、助手席エリアまで荷物を積載できる構造により、約3.5mの長尺物も収納可能です。 　それにもかかわらず、最小回転半径はわずか5.5mに抑えられており、都市部や狭い路地での取り回しにも優れています。 　エクステリアは6代目ハイエース（300系）をベースとしながらも、BEVならではのグリルレスデザインを採用しています。 　フロントには近年トヨタ車独自のデザインとして用いられている「ハンマーヘッド」スタイルのヘッドライトを配置。 　さらに、ボディ下部に黒い塗装を施し、SUVのような堅牢さを演出しています。 　このデザインは、実用車でありながら視覚的なインパクトも兼ね備えています。 　インテリアでも革新が見られます。 　メーターパネルはデジタル表示となり、シフトレバーはダイヤル式のシフトセレクターに置き換えられています。 　これにより、車内空間の効率的な利用が可能となりました。 　また、フラットなフロア設計によりウォークスルーが可能となり、車内での荷物移動が簡単にできるほか、専用のカートを使えばさらに利便性が向上します。 　このモデルにはトヨタのコネクティッド技術も活用されています。 　配送業務の効率化を念頭に置き、ルートの最適化や積載位置の表示といった機能が搭載される予定です。 　これにより、業務用車両としての利用価値が大幅に向上すると期待されています。 　現在のところ、「GLOBAL HIACE BEV CONCEPT」の市販化について公式な発表はありません。 　しかし、2024年3月に特許庁が公表したトヨタ車体の意匠登録には、このコンセプトモデルの特徴である先進的なフロントデザインや観音開き式のリアドアが含まれており、市販化の可能性を示唆しています。 　さらに、2023年11月にはトヨタが300系ハイエースをベースとした水素エンジン搭載モデルの試作車を公開。 　実際にトヨタの中嶋裕樹副社長は「FCEV（燃料電池車）や水素エンジン、ハイブリッドの導入も検討している」と明言しています。 　この発言からも、次期ハイエースには従来のガソリンやディーゼルエンジン以外の選択肢が登場する可能性が高まっています。 ※　※　※ 　トヨタのグローバル戦略において、ハイエースはマルチパスウェイ戦略の象徴的な存在です。 　燃料の多様化と電動化を同時に進めるこの取り組みは、顧客の多様なニーズに応えるだけでなく、カーボンニュートラル社会の実現にも寄与するものです。 　このグローバル ハイエース BEVコンセプトが市販化された暁には、ハイエースの歴史に新たな章が刻まれることでしょう。 　その展開が注目されるとともに、トヨタの進化がどこまで広がるのか、期待が高まります。