<野球>日本の最強U-18は、なぜ世界一を逃したか
今秋ドラフトでプロからの指名が予想されるプロ予備軍を10人以上も揃えて臨んだU-18が6日、甲子園で行われた決勝戦でアメリカに1-2で敗れ、悲願の世界一はならなかった。最強U-18の戦いには、一体、何が足りなかったのか。 北京五輪代表チームのスコアラーを務め、国際野球にも詳しい、現、岡山商科大野球部の特別コーチの三宅博氏は、「ミスが命取りになるのが国際試合。でも、勝負には負けたが内容では勝っていた。まだ海外チームが本来持つパワーを発揮できないこの年代においては、スピード、技術、試合運びなど、すべてにおいて日本は、世界最高のレベルにあることを示した。だが、審判への対応も含めて、国際野球への適応力には欠けていた。日本の高校生が、どこを目指すのかという高野連のビジョンにも問題があるのではないか」とシビアな意見を言う。 三宅氏が指摘した敗因のひとつが審判への対応だ。 2点を追う5回、先頭打者だった関東第一のオコエ瑠偉が中前打で出塁。その足で掻き回すことに期待されたが、アメリカの先発左腕、パレットのけん制につり出され、二塁ベース手前で憤死した。オコエが「え?」と、思わず塁審の顔を見たのも無理はない。パレットの右足は、一塁方向に正しく踏み出されておらず、日本のルールならば、完全にボーク。同じようなケースは8回にも。一死二塁からアメリカ3番手の長身右腕のジェファーソン・ローソンが、セカンドへの偽投を試みたが、これも日本の審判なら間違いなくボークを宣告するような動きだったが、そのまま試合は流された。 またキューバ人の球審のストライクゾーンも明らかに広かった。特に低めと外のボールを甘く見るため、落差のある変化球で揺さぶってくるアメリカの左腕、パレットにとっては有利な判定が続き、日本のバッターには戸惑いも見えた。 だが、三宅氏は「国際試合でのボークの判定と、ストライクゾーンが極端に日本のそれと違うのは常識。それに対する準備と、頭の切り替えが重要になってくる。ストライクゾーンに関しては、日本では、“ボールを振らない”ことを教えられるので、簡単には切り替えは難しいが、決勝までに試合数をこなしたのだから、その中で、切り替え、適応していくことは可能だったし、できているようにも見えた。決勝戦のような緊迫した試合の中では、本当の意味での準備と適応ができていたかどうかが、出てきてしまうもの」と苦言を呈した。