袴田巌さんの再審公判結審 検察は再度死刑を求刑 弁護団は「またしてもえん罪を作る極悪非道の論告だ」と批判
検察が求刑
午前11時に始まった22日の裁判。 今回の再審公判で初めて、検察側が被害者夫婦の孫の意見陳述を読み上げました。 検察官(男性): 「母は事件を忘れられず、精神的な苦痛を受けました。本来は何不自由ない人生を送るはずでした。母を犯人視する書き込みもありました。1度に4人の家族を失った被害者の恐怖や悲しみがどれほどのものか、人様にわかるでしょうか。当時の証拠を再度調べて真実を明らかにしてほしい」 その後、検察側は論告で「犯人は被告人で、金品を得る目的で犯行に及んだ」、 「5点の衣類は犯行着衣であり、いずれも被告のもの」と主張しました。 検察官(男性) 「被告人が作業スペースだったタンクに犯行着衣を隠匿(いんとく)するのは自然なこと。5点の衣類を捏造とする弁護側の主張に合理的な根拠はない」 そして…。 検察官(男性) 求刑 「被告人は33年余り死刑囚として身柄を拘束され、訴訟能力の観点からは心神喪失の状態と認定されているが、身柄拘束等の事情は量刑事情を何ら変更させるものではない。被告人の罪責は誠に重大。死刑に処すのが相当と思料する」 袴田さんに再び突き付けられた、死刑求刑。
弁護側の最終弁論
これに対し、弁護側は「5点の衣類は捜査機関が捏造した証拠」などと、検察側を強く非難しました。 弁護側(男性) 「検察は巌さんについて合理的疑いのある証拠もないのに、またしても冤罪をつくろうとする極悪非道の論告を行った」 主任弁護人の小川弁護士は最終弁論で 「再審公判が始まって7カ月間、巌さんの無罪が明確になった。 巌さんが無罪であるという事実は誰も動かせない。袴田巌さんは無罪です」 と述べました。
ひで子さんの意見陳述
発生から半世紀以上が経ち、大きな節目を迎えている袴田事件。 姉・ひで子さんは、袴田さんが獄中から家族に宛てた手紙を抜粋して、意見陳述を行いました。 「立ち上がっても投獄されればもはや帰れない。もはや正義もない。声の限りに叫びたい衝動にかられてならない。そして胸いっぱいになった真の怒りをぶちまけたい。お母さん、とおからず無実を立証して帰りますからね」 判決は9月26日(木)に言い渡されます。