テレワークのポジティブな効果が再評価? 仕事の疲れ軽くするだけでなく、人生も充実に...研究者に聞いた
テレワーク効果と健康向上は、鶏と卵の関係?
J‐CASTニュースBiz編集部は、調査をまとめたモバイル社会研究所の吉良文夫さんに話を聞いた。 ――調査から、テレワークを行なうと疲れが軽くなるうえ、いい睡眠がとれるというポジティブな結果が出ていますが、どういう理由からでしょうか。 吉良文夫さん テレワーク実施者と非実施者との間で生じている差異が、必ずしもテレワークの効果とは言い切れないと考えています。 特に睡眠によって疲れがとれない人は、その原因が必ずしも労働環境に起因しているとは限らず、むしろ職場に出勤することで気分転換になっている可能性もあります。 しかし、テレワークによって仕事の精神的な疲れが軽減されると考えている方は、シニア世代においても非常に高い割合で存在していることは予想外でした。 職場に出勤して働くことに関して、多くの方が無視できない精神的な疲労を感じているのだと推測されます。 ――なるほど。日常生活が充実している人のほうがテレワークに肯定的という結果も非常に面白いです。 「鶏が先か、卵が先か」という議論にもなりますが、日常生活が充実しているタイプだからテレワークを行なうのか、テレワークを行なうことによって日常生活が充実してきたのか、どちらでしょうか。 吉良文夫さん ご指摘の通り、両方の理由が考えられます。テレワーク実施によって日常生活がより充実するという考え方も可能ですし、同世代の中でも日常生活が相対的に充実していると思っている人のほうがテレワークに肯定的との解釈も可能です。 テレワークの実施率は職種や雇用形態などによっても異なるので、職種や雇用形態などが間接的に影響を与えている可能性も十分に考えられます。
テレワークをよく実施している人は、健康管理の意識が高い
――たしかに与えられた裁量権が大きく、基本的に自分の判断やペースで行動できる職種や職場では、テレワークの実施率も高いですからね。ほかにもテレワークが与える健康面の影響を調査したことはありますか。 吉良文夫さん 当研究所でテレワークの精神的・身体的な影響について直接調査したのは今回が初めてです。しかし、コロナ禍後の生活について調査したなかで、「テレワークとウォーキングの関係」(※)についても報告しています。 テレワークを週に2~3回実施している人は6割が「散歩やウォーキング」を日常的に行っているという結果です。テレワークをよく実施している人は、健康管理の意識が高いようですね。 ――私も往復3時間の職場通勤をやめて、テレワークオンリーになったら毎日のウォーキングが1時間増えましたよ。 吉良文夫さん 今回、テレワークを実施していない人でもテレワークに対する期待が大きいことが確認できました。さまざまな職種、企業・団体において、テレワークがさらに広がることに期待したいです。 (※)「テレワークとウォーキングの関係」 (J‐CASTニュースBiz編集部 福田和郎)