【大学野球】東大・渡辺向輝が法大戦で2回完全 大島公一監督「渡辺俊介さん、打った記憶がない」平成熱パの球縁ロマンに胸熱
◆東京六大学春季リーグ戦第5週第1日▽法大5―1東大(11日・神宮) 三塁側ベンチからマウンド上を見つめると、平成のパ・リーグにタイムスリップした感覚になった。 「いつもいつも、そっくりだなあ…って」 声の主は法大の大島公一監督(56)だ。オリックス時代にはイチローと上位打線を組み、ベストナイン2度、ゴールデン・グラブ賞3度の名内野手として熱パを彩った“職人”である。 視線の先にいるのは東大のサブマリン・渡辺向輝(3年=海城)だ。父・俊介さん(47=日本製鉄かずさマジック監督)はロッテ時代、球界を代表するアンダースローとして活躍した。 渡辺は6回から2番手でリリーフすると、法大打線へ堂々と立ち向かい、2イニングを完全投球。2三振を奪い、手玉に取った。 「なかなか経験のないところからボールが出てくるので、慣れるまでには時間がかかりますよ。僕も渡辺俊介さん、打った記憶がないんです」 大島監督はそう語るが、両者の対戦成績は2001年の初対決から26打席あり、15打数4安打3打点の打率2割6分7厘と決して悪くない。5四球を選び、出塁率は実に4割5分5厘。4犠打を決めているところが、いかにも大島監督らしい。それでも「打った記憶がない」というのは、それほど攻略に困難が伴ったからだろうか。 「きょうはゾーンに来ていた。ああいうピッチングをされると、手強いなと思いますね」 次なる戦いを待ち望んだ新指揮官。平成の熱パを想起させるマッチアップ。神宮の杜では随所に“球縁”のロマンを見いだすことができる。(編集委員・加藤 弘士)
報知新聞社