【神宮大会】「全員戦力」の底力 危機的状況を打ち破り青学大が成し遂げた「4冠」
かつての名将も称賛
神宮ネット裏のスタンドで観戦した河原井正雄氏は、全日本大学選手権優勝4度、東都大学リーグ優勝12度の実績がある名将だった。 「4年生がいない中でも、3年生以下は立派に戦いました。石川雅規(ヤクルト)が2年生だった1999年、全日本大学選手権決勝で早稲田に勝ち、優勝させていただきましたが当時、主将だった四之宮洋介(日産自動車コーチ)のチームとかぶるものがありました。ワンチャンスをものにする集中力。日替わりヒーロー。ケガで主力が欠場する中でも戦えたのは、安藤監督の指導力の賜物。とっくに、私を超えている。大したもんです。4つすべて勝つのは大変なこと。よくやりました」 しかし、百戦錬磨の元指揮官は、教え子を褒め称えるだけでは終わらない。 「(来年は)この決勝を経験した3年生以下がそのまま残りますが、そう簡単にはいかないのが、東都大学リーグで生き残る難しさです」 河原井氏が指摘するまでもなく、現場を預かる安藤監督は重々、理解している。試合で活躍したのは3年生以下だったが、ベンチでは主将・佐々木以下による4年生のサポート体制が強固であった。3年生が最上級生となる来年、自覚のある行動が取れるか、真価が問われる。毎年、メンバーが入れ替わる学生野球の常。そこで、勝ち続けるのは難しい。来春はリーグ5連覇への挑戦である。 安藤監督の指導モットーは「一手間をかけること」。栄光に近道はない。基礎基本の徹底が力になる。日々の寮生活、学校生活、練習の一つひとつを、丁ねいに積み上げていく。 文=岡本朋祐
週刊ベースボール