ネット批判集中のGK川島はポーランド戦で先発交替すべきなのか?
フィールドプレーヤー、特に最終ラインとの間で築かれたあうんのコミュニケーションや信頼関係を抜きにして、ゴールキーパーの仕事はまず成り立たない。その意味でも日本代表史上で初めて、3大会連続でワールドカップのピッチに立ってきた川島の経験値の高さ、それをパフォーマンスに反映させる力はずば抜けている。 国際Aマッチ出場数を比べても、川島の「86」に対して、ともに初めてのワールドカップとなる32歳の東口が「5」、23歳の中村が「4」となっている。しかも、東口と中村の直近の試合は、12日のパラグアイ代表とのテストマッチの前後半の45分間ずつを交代で守ったものだ。 加えて、もし東口か中村を起用した場合、ワールドカップのデビュー戦が日本の決勝トーナメント進出がかかる大一番となる。ポーランドだけでなく未知のプレッシャーとも戦わなければならないはずだし、そうなれば本来もっている実力を発揮することも難しくなるだろう。 川島交替論をW杯の前哨戦の段階から唱えている元日本代表FWの城彰二氏でさえも「川島の不安定さは日本代表のウイークポイント。本来ならば交替すべきだが、東口、中村の経験値を考えると、場数を踏んでいる川島の経験に頼らざるを得ないのが現状かもしれない」とも言う。 セネガル戦の前半39分には、縦パスから快足FWエムバイエ・ニアン(トリノ)に最終ラインの裏へ抜け出された。MF乾貴士(レアル・ベティス)のゴールで同点に追いついてから5分後。再び勝ち越されかねない絶体絶命のピンチで、川島は冷静な反応を見せている。 前方へ数歩ステップしてシュートコースを狭めたうえで、両手を広げて腰を落とす。そこからニアンを必死に追走してくるDF吉田麻也(サウサンプトン)との共同作業に入り、吉田のプレッシャーを受けたことで、万全な体勢から放てなかったシュートを両手で完璧にセーブした。 先制を許した瞬間は、絶望感に支配されたはずだ。それでもすぐに己を奮い立たせ、折れかけた心を立て直し、セネガルと再び対峙した。試合後のインタビューで心なしか目を赤く腫らしていたことからも、その後の川島が重い十字架を背負いながらプレーしていたことがわかる。 突っ伏した直後に近寄り、檄を飛ばしてくれたキャプテンのMF長谷部誠(アイントラハト・フランクフルト)の存在も川島を勇気づけた。試合後には東口と中村が川島のもとへ駆け寄り、笑顔で話しかけながら手にした勝ち点1の重みを分かちあってもいた。