1980年代ハイソカーブームをけん引したトヨタ「マークII/チェイサー/クレスタ」 3兄弟とは? どれだけ売れた??【歴史に残るクルマと技術050】
●チェイサー、クレスタも登場してマークII 3兄弟が揃い踏み
1984年8月22日、マークIIの5代目へのモデルチェンジと同時に、兄弟車「チェイサー」は3代目、「クレスタ」は2代目へ移行し、3兄弟が揃い踏みした。 3兄弟のそれぞれの特長を一言で表すと、マークIIは落ち着いた雰囲気の高級セダンとハードトップ、チェイサーは高級感あふれるスポーツセダン、クレスタはスタイリッシュな高級パーソナルセダンである。 ・3代目チェイサー ボディは基本的にはマークIIと同じだが、3代目からはセダンがなくなり、4ドアハードトップ専用車となった。エンジン構成はマークIIと共通だが、組み合わせが異なる。直6エンジンを主力とするマークIIに対して、直4エンジンを主力として性格を異にした。 ・2代目クレスタ 2代目クレスタは、全高の低いスタイリッシュなセダンとして人気を獲得。エンジンは、2.0L直6 DOHCを搭載しパワーアップ。ツインターボエンジンを搭載した「GTツインターボ」も追加して、日産自動車「スカイライン」に対抗した2代目の人気はさらに高まった。
●爆発的な販売台数を記録した3兄弟
3兄弟の人気は凄まじく、4年間の3兄弟の合計販売台数が115万台と、今では考えられない数値を記録した。その内訳は、おおよそマークII(50%)、クレスタ(30%)、チェイサー(20%)だった。 車両価格は3兄弟で大きな違いはないが、5代目マークIIで人気の高かった最高出力160ps/最大トルク18.5kgmを発揮するグランデ・ツインカム24(2.0L直6 DOHC)が261.2万円、トップグレードの最高出力185ps/最大トルク24.0kgmを発揮する2000GTツインターボ(2.0L直6 DOHCツインターボ)が292.5万円に設定されていた。 ちなみに当時(1985年)の大卒初任給は14万円(現在は約23万円)なので、単純計算で現在の価値では人気のグランデ・ツインカム24が429万円に相当する。 2023年に最も売れた乗用車は、トヨタのコンパクトカー「ヤリス」で約19.4万台/年、1988年の5代目マークIIはほぼ同数の約19.3万台だった。高価な高級セダンがこんなに売れるとは、今では到底考えられない。当時の高度経済成長に支えられたバブル景気がいかに凄かったかということを表している。
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