「TRICK」や「SPEC」の再来? ドラマ「ゼンケツ」が面白すぎる件ーー「全領域異常解決室」にはヒットの要素しかない理由
『グランメゾン東京』『TOKYO MER~走る緊急救命室~』『マイファミリー』『ラストマン-全盲の捜査官-』『キングダム』『ゴールデンカムイ』など、原作もの、オリジナル問わず、近年ヒット作を連発している。アニメでは『ONE PIECE』の脚本も書いていて幅広い。 社会的なテーマ、心理的な駆け引きの機微、次々と転がっていくストーリー、あの手この手で視聴者を飽きさせない技があり、スケールの大きなエンタメも得意なうえ、緻密なミステリーも得意と、現代人が求めるものを熟知している。
『ゼンケツ』も、先述した、登場人物が次々と神であることが明かされる展開は小気味よかったし、序盤、ヒルコではないかと疑われていた謎の巫女(福本莉子)がじつはゼンケツのメンバーだったという展開も巧いなあと感心した。 最終回までまだまだ意外な展開が仕掛けられているのではないだろうか。ユースケ・サンタマリア演じる警部・荒波健吾は陰陽師安倍晴明の子孫ではないのか(大河ドラマ『光る君へ』でユースケは安倍晴明を演じていた)、気になることはたくさん残っている。
地上波放送の視聴率はさほど高くないものの(当初、視聴率が各メディアで発表されず、タイトルどおり異常事態かと思わせたこともあった。それが狙いだったのか関係ないのか定かではない)、TVerやNetflixでは常に10位内にランクインしていることでも、『ゼンケツ』の存在は無視できない。
木俣 冬 :コラムニスト