【速報】新型ロータス・エメヤは驚きの1台だった 2000万円超の超高性能サルーンに、日本で乗った!
日本に上陸したロータスの新型「エメヤ」に、早速乗った! 驚きの高性能を、サトータケシがリポートする。 【写真を見る】新型エメヤの全貌(24枚)長未来的なインテリアも凄い!
アジリティの高さは門外不出
電動車両のプレミアムブランドへと大きく舵を切ったロータスは、ハイパーSUVの「エレトレ」に続いて、ハイパーGTを謳うBEV(バッテリー式電気自動車)のサルーンのエメヤを日本市場に導入した。実車と対面すると、ロー&ワイドなフォルム、真横から見たときの伸びやかなシルエット、そして流麗な弧を描くルーフラインの組み合わせから、4ドアのクーペという印象を受ける。 試乗車は最高出力918ps(!)を誇る最高性能版のエメヤR。15.1インチという大きなセンターディスプレイが中央に鎮座するインテリアのレイアウトや、センターディスプレイにインターフェイスが集約されている点はエレトレと共通。センターコンソールに位置するシフトセレクターをDレンジに入れてスタート、混雑した都心の一般道で真っ先に感じるのは、洗練された乗り心地だ。 乗り心地がいいといっても、ふわんふわんとしているわけではない。スポーツカー的なタイトさを感じさせながら、路面からのショックは巧みに遮断するという、あまり体験したことがない類の乗り心地のよさを提供してくれる。とにかく、ボディが驚くほどしっかりしていることが乗り心地に直結しており、加えて“R”に標準装備されるアダプティブダンピングシステムがいい仕事をしていると推察する。 高速道路でも、カッチリしているのに突き上げの角を丸めた乗り心地になっていることに感心する。ステアリングホイールを通じて路面の情報は高い解像度で伝わってくるのに、凸凹や轍や路面のつなぎ目で生じる衝撃と振動は、きれいに排除されている。このフィーリングはなにかに似ている、と思い至ったのがノイズキャンセリング機能付きのヘッドフォンで、このクルマはハーシュネスというノイズをキャンセルする機能が備わっているかのようだ。 高速道路でも最高出力918ps、0~100km/hの加速タイムが2.7秒のダッシュ力を味わうことは難しいけれど、一瞬のフルスロットルで感じるのは、強大なトルクが精緻に4輪に配分され、結果として足並みの揃った加速を見せることだ。乗り心地のよさもあいまって、暴れ馬を御するのではなく、血統書付きのサラブレッドと優雅に走っているように感じる。 パドルシフトで回生ブレーキの強さを変えることが可能で、これを最強にすると、ほとんどブレーキを使わずに、いわゆる“ワンペダルドライブ”ができる。このモードだと、最初の5分、10分はアクセルオフでの減速が強すぎて同乗者から苦情が来るかもしれないと懸念したけれど、アクセルペダルをオフにするタイミングをマスターすると、実にスムーズに走ってくれる。 モーター駆動の静かさ、後席の足元スペースと荷室の広さ、インテリアの素材の質感の高さ、そして乗り心地の快適さなどがあいまって、家族や仲間と楽しく遠出ができるだろう。4ドアのフォーマルなたたずまいもあって、ショーファードリブンとして使うことも考えられる。 とはいえ、そこはロータス。ひとりで乗っているときには、コーナーを攻めるような乗り方をすると実にファン・トゥ・ドライブだ。 エレトレに試乗したときにも感じたけれど、コーナーでスパッと向きを変えるアジリティの高さは門外不出、秘伝の味とも言うべきもので、このシャープな操縦性と快適性の高さを両立しているあたりが、新時代ロータスの個性でありストロングポイントなのだろう。 ドライブモードで「スポーツ」を選ぶと、バケットシートのサポート機能が自動で引き締まり、同時にアクセルペダル、ステアリングホイールへの操作に対する反応もビビッドになる。 このモードだと飛ばして楽しいのはもちろん、市街地を流していても楽しい。ゆっくり走らせても楽しめるのは、よくできたスポーツカーの証だ。 アクセルペダルとブレーキペダルを踏んで、ステアリングホイールを操作することについ熱中してしまうけれど、運転支援機能も充実している。 ハンドル操作をアシストしながら先行車両に追従するアダプティブクルーズコントロールの作動は正確でスムーズ、渋滞にハマると完全停止までサポートしてくれる。ここでも、知性の高いサラブレッドだという印象を受ける。 アダプティブクルーズコントロールの出来のよさから想像するに、自動ブレーキなどのほかの運転支援機能もレベルが高いはずで、家族や友人と運転を交代しながらグランドツーリングに出かけるような使い方をしても安心だ。 快適に、楽しくロングドライブができるこのクルマ、ハイパーGTという謳い文句に偽りはない。
文・サトータケシ 写真・安井宏充(Weekend.) 編集・稲垣邦康(GQ)