G由伸監督の途中解任はありえないのか?
そもそも高橋監督の就任経緯からしても、球団ワーストの連敗記録を理由に解任などと言い出せるはずがない。2年前、高橋監督は、まだ現役に未練をもっていて、監督就任を固辞していた。指導者になるには経験不足ということも口にしていたが、その経験不足は承知したうえで、球団は「フロントがバックアップするから思い切ってやって欲しい」と頭を下げて躊躇していた高橋監督を説得したのだ。 しかも、高橋監督の要請で、同い年である井端弘和氏も、まだ現役が続けることができる状態にあったにもかかわらずユニホームを脱ぎ、組閣に加わった。 就任1年目は、2位。2年目の巻き返しに向けフロントは、マギー、カミネロ、陽、森福、山口俊、そしてトレードで日ハムから吉川、石川を獲得した。約30億円をかけたと言われる大型補強をしたが、その一方で、若手育成を怠ってきたツケが、野手に出ていて、長野が不振に陥ると、代わってポジションを奪うような若手も見当たらず、セカンドのポジションも埋まらないままになっている。特に足を使える若手が伸び悩んでいて広島の若手の躍動とは対照的だ。 そしてFAで獲得した3人は開幕に間に合わなかった。中途半端な戦力を押し付けられて「優勝しろ」と宿命づけられた高橋監督に「球団ワーストを作ったから途中で辞めろ」とはフロントサイドは口が裂けても言えないのだ。となれば、残りまだ88試合あることを考え、連敗にアタフタせずに反撃のプランを練るしかない。 広岡氏は「高橋監督をサポートできる経験のある優秀なコーチを傍に置く必要がある。今のままのスタッフでは厳しい」とも指摘していた。コーチの途中交代も、巨人は基本断行しない。実際、この日の試合後もフロント幹部がコーチのテコ入れをマスコミに否定している。だが、来季も考え、適任者の人選などはスタートしておかねばならないだろう。そして、もっと重要なのは、フロントが連敗の原因を分析して、来年、再来年を見据えた、生え抜きの若手野手の育成プランを真剣に考えることだろう。 それは今オフのドラフト戦略ともリンクするのかもしれないが、誰が、どう教えるか、も重要なテーマ。連敗はいつか止まるだろうが、その先を考えなければ、巨人は暗黒時代に入る危険性がある。 (文責・駒沢悟/スポーツライター)