相次ぐ順番待ちに、あせる親の住まい探し 怪しいけれど藁にもすがる思いで相談所へ 結果は
いつかはやってくると思いつつ、ついつい先送りしてしまう親の介護の準備。関西在住のイラストレーター&ライターのあま子さんもそんな一人。これまで一人暮らしを続けていた母が、2022年正月早々に転倒し、骨折→入院という経緯で認知症を発症。いったん母は首都圏に住む兄一家のところで暮らすことになりましたが、再び関西に戻ってくることになり、母の住まい探しは継続中です。今回は、初めて利用した「老人ホーム紹介センター」についてです。 【本編】イラストを見る 「やる気のなさそうな施設長」 2023年2月のこと。暦の上では春になったものの、われら母娘(おやこ)にはいまだ春遠し。これまで10を超す老人ホームを見学しましたが、よいと思ったところはすべて順番待ち。気持ちはあせりますが、相談できる人もおらず「どーしたらええねん!」と煩悶していたときに、ふと思い出したのが母の担当をしてくれていたケアマネTさん。たしか「老人ホーム紹介センター」の人を紹介しましょうか?」と言ってくれていたよなぁ。 そのときは、「紹介所ってなんか怪しそう」と思い、お断りしましたが、ここまできたらできることはなんでもしたい。Tさんに連絡を取ると、とても親身に話を聞いてくださり(感涙)、快くセンターの担当者さんにつないでくれたのでした。 さて、「老人ホーム紹介センター」とはなんぞや?と思われる方も多いでしょう(私も知りませんでした)。老人ホーム紹介センターとは「老人ホーム」と「老人ホームを探す人」をマッチングさせる事業者のこと。法律で定められた仕組みではなく、運営するために特別な資格などもありません。主なサービスはつぎのようなものです。 ・住まい探しの相談 ・施設の資料の取り寄せ ・希望に合う施設の紹介 ・施設見学の予約・同行 ・入居契約の同席 私が相談した事業者は、利用にあたっての費用は必要ナシ。契約が成立したときに、紹介先の施設から紹介料などの報酬を事業者が得るシステムでした。 私の考える1番のメリットは、自分では知りえなかった施設情報を提供してもらえること。パンフレットに書いてあるような情報だけではなく、「ここのホームはこんな感じで~」と具体的な話が聞けました。 つぎに、こちらの状況に即した具体的なアドバイスをプロからもらえることです。私ももっと早くに利用していれば、ここまで迷走しなくてすんだかもしれません。 あと、見学に際して聞きにくいことや希望を伝えておけば、ホーム側へ代わりに伝えてもらえるのもありがたいポイントです。 つぎに、デメリットというか、注意したいこと。必ずしも「利用者ファースト」なセンターばかりではないようです。公正・中立をうたいつつ、偏った施設紹介をする残念な業者もあるとのこと。担当者さんのもつ情報が少なかったり古かったりすることもあります。あとから後悔しないために「評判のいいセンターに依頼」し、なおかつ「担当者の言葉だけで判断しない」ことがポイントです。 そんなこんなの前知識を仕入れているうちに、紹介センターの担当者Kさんとお会いする日がやってきました。事前に電話で日時を決め、わが家に来てくれました(センターによっては、事務所に出向くところや、オンライン面談のところもあるようです)。 Kさんは、40代くらいのハキハキした明るい女性で、ちょっと安心。私がすでに見学したホームのことや、希望するエリアや予算などを大まかに伝えていたので、こちらの希望に合いそうな7施設の資料を持ってきてくれました。 まずは高齢者施設の違いなどをレクチャーがあり、つぎにファイルを見ながら各ホームの説明に入ります。ホームの職員ではないので、こちらも突っ込んで尋ねやすいし、Kさんもぶっちゃけて話してくれました。例えば、条件はいいのに昨年の退去者が多くて、私が見学を躊躇(ちゅうちょ)しているホームについて問うと、経営母体が変わり内部がゴタゴタしているとのこと。これはネットではわからない情報です。ほかにも貴重な情報をもらい、見学する施設を絞り込みました。初めて名前を知ったサービス付き高齢者向け住宅と、見学に行こうと思っていた有料老人ホームの2施設をお願いしました。