紀平がGPファイナルSPでザギトワ超え理由は3回転アクセルだけではなかった!
フィギュアスケートのグランプリ(GP)ファイナルの女子シングルSPが6日(日本時間7日)、カナダのバンクーバーで行われ、初出場の紀平梨花(16、関大KFSC)が優勝候補のアリーナ・ザギトワ(16、ロシア)を抑え82.51の今季世界最高得点で首位に立った。平昌五輪金メダリストのザギトワは77.93で2位につけている。 五輪スポーツを取り上げている海外メディアのOlympic Channelは「紀平がGPファイナルで女子世界記録を塗り替えた。新人の紀平が、本物か、どうかという疑いは、もはやなくなった」と紀平の演技を絶賛した。 紀平とザギトワの差は何だったのか? 紀平は冒頭のトリプルアクセルを綺麗に着氷。続く3回転フリップ+3回転トゥループも成功させ、後半の3回転ルッツも決めてノーミスで演技を終えた。 一方のザギトワも冒頭の3回転ルッツ+3回転ループを成功させ、2回転アクセル、後半の3回転フリップも見事に着氷、こちらも3つのジャンプでミスすることなく演技をまとめた。 だが、2人の得点には差がついた。 10.51点を稼いだ紀平のトリプルアクセルが効いていることは確かだが、元全日本2位で、現在福岡で後進を指導している中庭健介氏は、「ここ最近のイメージですが、ノーミスのザギトワを破ったのはメドベージェワ以外にいないんじゃないでしょうか。鳥肌が立ちました」とした上でノーミスの両者に点差がついたポイントをこう分析した。 「紀平さんはトリプルアクセル(基礎点8.00)、ザギトワさんはダブルアクセル(基礎点3.30)、この4.70点の違いが点数に反映されているのは、もちろんですが、今回は特にお互いが同じ試合で演技した事により、両者のスケートの滑らせ方、滑りの質に違いを感じました。紀平さんは、一歩、一歩が非常によく滑るようになりました。力まずに加速できます。伸びるんです。一方のザギトワさんは若干ですが、力みが見えます。滑るというより漕ぐというイメージです。表現などの上半身の使い方、華やかさは、ザギトワさんに一日の長がありますが、スケーティングは紀平さんの方が滑るので、これが演技構成点やさらには、ジャンプでの高いGOE(出来栄え点)につながっていると感じました」 紀平のトリプルアクセルのGOEは2.51、連続ジャンプは1.74、3回転ルッツにも2.36もの加点がついた。 対してザギトワは、冒頭の連続ジャンプが1.85、2回転アクセルは0.80、3回転フリップは1.97で、ジャンプのGOEだけで1.99の差がついたのである。トリプルアクセルと2回転アクセルの基礎点の差の4.70を含め紀平はジャンプだけだと6.05のリードを奪ったことになる スピンでは、すべてレベル4だったザギトワに対して紀平は、レベル2になったものがひとつあったが、演技構成点は、紀平が35.15で、ザギトワが35.83と、わずか0.68の差しかなかった。