ゾンビは映画界に何をもたらしたのか? 故ジョージ・A・ロメロ監督の功績
人気ゲームもゾンビ映画の追い風に
「ガンシューティングゲームにとって、ゾンビという対象は、“しっかり頭を撃ち抜かなくては死なない”という設定上、非常に魅力的なキャラクターなんです。映像としてもインパクトがあるし、ビジュアルという視点から言っても、映画化していくというのは、ある意味必然といえるでしょう」とはゲームライター。 さらに、「映画『バイオハザード』シリーズは世界的にもヒットを飛ばし、ゾンビ=カルトという認識を大きく変える要因の一つになった作品といっても過言はない。日本でもマイナージャンルだったゾンビ映画の認知度を、大きく上げました」とその意義を述べる。 そこからは「多種多様なジャンルのゾンビ映画が誕生した」と前述の映画評論家も指摘する。 「低予算の古き良きマイナー然とした映画もあれば、ブラッド・ピットが主演し、製作にも顔を連ねた映画『ワールド・ウォーZ』のように製作費2億ドルなんていう、超メジャーなゾンビ映画も誕生した。日本でも、2016年に東宝が、大泉洋、有村架純、長澤まさみら旬な俳優を起用し、なかなかパンチの効いたゾンビ映画『アイアムアヒーロー』を280スクリーンという規模で公開し、興行的にも良い数字を残しました」 近年では、心を持たないはずのゾンビが恋をしたり、傷ついたりという、完全にゾンビ映画の趣旨と違う作品も見受けられるが、そもそもこうしたバラエティに富んだ作品がラインナップされるということ自体、ゾンビ映画が一つのジャンルとして完全に市民権を得たとも言えるだろう。 昨今のゾンビ映画が、ロメロ監督の意志を受け継いでいるかといえば、疑問符が残るかもしれないが、少なからず「ゾンビ映画の父」が“祖”となったゾンビ映画が今後も一つのジャンルとして、映画史に名を残すことは間違いないだろう。 (文責/JAPAN芸能カルチャー研究所)