『アンジェリーク』発売30周年。ネオロマンスゲームのすべてはここから始まった。オスカーのセリフ「お嬢ちゃん」にときめきを覚えた【今日は何の日?】
※本記事は、2023年9月23日にアップした記事を再編集したものです。 ネオロマンスゲームの誕生 【記事の画像(7枚)を見る】 1994年(平成6年)9月23日は、スーパーファミコン用ソフト『アンジェリーク』が発売された日。本日で発売から30周年を迎えた。 『アンジェリーク』は光栄(現コーエーテクモゲームス)から発売された恋愛シミュレーションゲームであり、いまなお続く人気シリーズの第1作。プレイヤーは宇宙を統べる女王の次期候補アンジェリークとして、光、闇、風、水、炎、緑、鋼、夢、地の力を司る9人の守護聖たちと協力して大陸を育成することになる。 見目麗しく、威厳とやさしさを備えた守護聖たち。大陸を育む傍ら、彼らと交流を深めていくと甘い恋愛に発展する。リアルではなかなか体験できないようなアプローチやセリフの数々は、神秘的でキラキラとした世界観も相まって多くのプレイヤーを魅了した。 セリフと言えば、炎の守護聖オスカーの「お嬢ちゃん」はとくに有名で、『アンジェリーク』を知らなくてもセリフだけは知っている方も多いはず。燃えるような赤い髪、キリリとした目、騎士のようなたくましい体(ちなみに身長は189センチ)のオスカーの顔が画面いっぱいに表示され、さらりと口にする「お嬢ちゃん」という言葉に、誰しも少女のようなときめきを覚えただろう。 ゲームの内容は“シミュレーション”と謳っているだけあって、かなり骨太な作り。恋に現を抜かしていると、ライバルであるもうひとりの女王候補ロザリアに後れをとってしまい、主人公に対する守護聖の評価も下がってしまう。育成と恋の狭間で揺れる乙女心を、うまくゲームバランスで表現していると言える。 当時、女性をメインターゲットに据えた『アンジェリーク』の登場は革命と言っても過言ではない。開発を手掛けたルビーパーティーは、『アンジェリーク』を皮切りに『遙かなる時空の中で』や『金色のコルダ』など、つぎつぎとヒット作を連発。ルビーパーティーが展開する作品は“ネオロマンス”という総称で愛され、“女性向け恋愛ゲーム”という一大ジャンルを確立した。 ドラマCDやキャラクターソング、コミックなどの関連商品の展開や、キャラクターを演じる声優陣が出演するリアルイベントが開催されるのも、ネオロマンスの魅力のひとつ。筆者も何度かイベントを観覧したことがあるが、声優陣のミニドラマやライブは圧巻。甘いパフォーマンスが飛び出すたびに場内が悲鳴にも似た歓声や吐息で満たされるのは、イベントならではの光景だ。 ちなみに、いまでこそ声優がキャラクターを演じることが当たり前になっているが、第1作目の『アンジェリーク』には音声がついていなかった。初めて音声が収録されたのは、1995年に発売されたシリーズ2作目の『アンジェリークSpecial』。超豪華声優陣がキャラクターに命を吹き込み、作品の世界はさらに煌めきを増した。 その後、『アンジェリーク』は主人公の変更や守護聖の追加など、多様な変化を遂げながら多くのシリーズ作品が世に出た。2021年に発売された最新作の『アンジェリーク ルミナライズ』は、現代世界を生きる主人公がひょんなことから異世界へ飛ばされ、女王候補として奮闘するという物語。ビジュアルやキャストが一新されており、恋愛ゲーム初心者でも入りやすい内容となっている。 『アンジェリーク』が発売から30周年を迎える今年(2024年)いちばん大きなニュースとなったのは、9月18日から“ファミリーコンピュータ&スーパーファミコン&ゲームボーイ Nintendo Switch Online”で遊べるようになったこと。このニュースには多くのファンが歓喜しただろう。お嬢ちゃん、この機会に遊んでみてはいかが?