40代、50代は最も不幸な世代⁉ だから「幸福学」を学ぼう
「どうすれば人は幸せになれるのか?」という人類の命題ともいえる研究を行っているのは、「幸福学」の第一人者、慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授の前野隆司さん。では、悩み多きOurAge世代が幸せを手に入れる方法とは?前野先生、教えて!
幸せも健康と同じ。気をつけることで、不幸は予防できる
――幸福について、科学的に解明するのが「幸福学」ですよね。前野先生、もう少し詳しく教えていただけますか? 「幸福学は、統計解析という、アンケート結果をもとにした科学的手法を用いて、幸福感が高い人はどのような人なのかを導き出す学問です。心理学の領域では、1980年頃から主観的ウェルビーイングと呼ばれる研究が始まっていました。そこでは、『自己肯定感の高い人は幸せである』『笑顔になると幸せになる』『感謝をすると幸せになる』といったことが判明していて、科学的にも説明できるようになっていったのです。 ただわかってはいたのですが、一般の人にはあまり広まっていなかった。私が研究している幸福学は、そういう心理学による基礎的な幸福の分野と、そこからさらに人々を幸せにするための製品や職場、街づくりといったところにも応用できるものです」 ――なるほど。前野先生はもともとキヤノンで、カメラのモーターを開発するエンジニアだったそうですね。そこからなぜ、幸福学をご専門とするようになったのですか? 「私はもともと工学系出身なので、科学でわかったことを世の中に広めることに興味があったんです。例えばカメラにも、快適な心地よさに加えて、人が幸せを感じるような心の設計も入れるべきではないか、と。もちろんカメラのような物体ではなく、職場でもサービスでも同じです。『快適な家』が設計できるように、『幸せな家』というものも設計可能ではないかと思ったのです」 ――設計できる、ということは、幸福は目に見えない曖昧な概念ではなく、能動的につくっていくことができるもの、ということですか。 「はい。例えば健康については、多くの人が体にいいものを食べたほうがいいとか、適度な運動が必要とか、いろいろな知識をお持ちですよね。予防医学のように幸福も、どんなことに気をつけていけばいいのかがわかり、さらにつくっていくことができる時代が来た、ということだと思います。健康という視点のある人とない人では、『ある人』のほうが生きやすいように、漠然としていると思われていた心の幸せも、視点を持つことで生きやすくなるわけです」 ――健康と同じ、というのはわかりやすいですね! ぼんやりと受け身で生きているより、人生に幸せの要素を能動的に組み込んでいく視点を持つほうが、確かに幸せになれる気がしてきました!