11月3日、横浜スタジアムの熱狂を一生忘れない 『勝ち切る覚悟』で昇華された26年分の想い
リアルサウンド映画部の編集スタッフが週替りでお届けする「週末映画館でこれ観よう!」。毎週末にオススメ映画・特集上映をご紹介。今週は、横浜ファンになってから、かれこれ2000敗は経験してきた石井が『勝ち切る覚悟~日本一までの79日~』をプッシュします。 【写真】こんなに熱い一面があったのかと驚いた大原慎司コーチ
『勝ち切る覚悟~日本一までの79日~』
数年前、Twitter(現X)で「プロスポーツファンは幸福度が低い」といった趣旨の研究データを見かけたのですが(再発見できず)、「他人に俺の幸福度を測られてたまるか!!」と、「そりゃそうだよなあ」が同居した思いを抱いたのを覚えています。なぜなら、自分は日本プロ野球界で最も負けているチーム、横浜(DeNA)ベイスターズのファンだったからです。 1752勝、2098敗、借金346。私が横浜ファンになった1997年から2024年までの横浜(DeNA)ベイスターズのシーズン合計勝敗数です。強がりではなく(本当に)、負けても満足する試合はあります。とはいえ、当たり前ですが、負けるより勝った方が間違いなく嬉しいし、幸福です。その一点においては、年間約140試合もあるプロ野球の中で、横浜ファンは「最も幸福度が低いプロスポーツファン」だったということになります。そう、“だった”なのです。 「暗黒時代」と評される2002年から2011年、ベイスターズは10年間のうち8年が最下位、3年連続90敗以上、勝率は4割にも満たない期間が長くありました。12球団の中でも屈指の立地を誇るホーム球場にもかかわらず、横浜スタジアムはガラガラ、主力選手は移籍していく……と書いているだけで、あの頃を思い出して辛くなってきます。特に中学~大学のザ・学生時代がもろにこの時代にドンピシャだった私は、“弱い横浜ファン”であるという点がイジられポイントにもなっていたし、自虐的にネタにすることもありました。あの頃の自分、誇りを持てないのもしょうがない。 それでも、それでも、どんなに負け続けても、いつかは優勝する、強いチームになると信じていたあの頃。自虐で心にバリアを張っていても、自分にとっては「暗黒時代」なんかではなく、いつかを夢見たあの時代も楽しい日々でした。本当に勝てなかったけど。そんな弱くて、馬鹿にもされるチームの中で、それでもずっと「横浜愛」を貫いてくれたのが、現在の監督・三浦大輔です。 と、異常に長い前置きになりましたが、映画『勝ち切る覚悟~日本一までの79日~』では、そんな三浦大輔監督のもと、横浜DeNAベイスターズが26年ぶりの日本一を達成するまでが描かれています。ポスターからも分かる通り、本作の主役といえる存在はチームのキャプテンでもあり、日本代表選手でもある牧秀悟選手です。牧選手のほか、日本一に貢献した選手たちの知らなかった素顔を観ることができるのが本作の醍醐味なのですが、個人的に最も涙腺を刺激されたのは三浦監督であり、選手を支えていたコーチ・スタッフたちの姿でした。