『となりのトトロ』はなぜ海外でも愛されているのか? イギリスでは舞台版が大ヒット
『となりのトトロ』が海外のファンを魅了する理由とは?
『となりのトトロ』と言えば、なんといっても日本の田舎や里山といった、心に平静をもたらしてくれる景色が見どころの一つだ。自然の中で生きる喜びや自然の精霊との触れ合いは、国境を越えて多くの人々が共感を覚えるテーマではないだろうか。また、テクノロジーの発達で家族団らんの機会が減少しつつある現代では、サツキとメイが育む姉妹愛や家族の絆は、どの国に住んでいる人々にも訴えかけるものがある。本作は、せわしない日々を送る現代人が忘れがちな人情や不変的な価値観、伝統の大切さなどを思い起こさせてくれるだけでなく、猛スピードで走る猫バスでのドライブや、巨体のトトロが放つ存在感など冒険の要素も満載だ。 老若男女問わず、誰もが一緒に楽しめる『となりのトトロ』の舞台版が、映画と同様に高い支持と人気を得ているのも納得である。舞台版の評価はうなぎ上りで、2023年には英国演劇界で最高峰となるローレンス・オリビエ賞で最多6冠に輝く栄誉も手にした。
『ベイマックス』の監督も『となりのトトロ』からの影響を言及
傑作と謳われる『となりのトトロ』が、海外の映画界やポップカルチャーに与えた影響力は絶大である。そんな作品の一つに数えられるのが、ディズニーアニメ映画『ベイマックス』(2014年)だ。近未来の日本を舞台にした本作は、最愛の兄タダシを失って心を閉ざしていた孤独な14歳の天才少年ヒロと、亡き兄が遺した心優しきケア・ロボット“ベイマックス”が結ぶ固い絆が感動的に描かれる。 共同監督を務めたクリス・ウィリアムズは、ベイマックスの無邪気さと優しさは、『となりのトトロ』からインスピレーションを受けたと明かしている。トトロは一言も喋らないが、映画ではサツキやメイと心温まる交流を見せ、そういったシーンはヒロとベイマックスの関係性に反映されているとも語った。 また、『ベイマックス』では『となりのトトロ』だけでなく、ベイマックスが空を飛んだり戦ったりするアクションシーンは、同じく宮﨑駿監督のアニメ映画『天空の城ラピュタ』(1986年)や、大友克洋監督のアクションアニメ映画『AKIRA』(1988年)から影響を受けたそうだ。 『となりのトトロ』は、8月23日に『金曜ロードショー』(日本テレビ系)で放送される。海外から高い評価を受ける宮﨑監督の名作を、この機会に観返してみてはいかがだろうか。 参照 ※1. https://www.theguardian.com/stage/2022/oct/19/my-neighbour-totoro-review-barbican-london ※2. https://www.straitstimes.com/lifestyle/entertainment/big-hero-6-a-nod-to-sentimentality-found-in-great-anime-films
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