子供たちのために、ちゃんとした大人になりたい……『オールド・フォックス 11歳の選択』
ニッポン放送「ひろたみゆ紀のサンデー早起き有楽町」(日曜朝5時~)で、おススメの最新映画をご紹介しているコーナー『サンデー早起キネマ』。6月9日は、テーマは違ってもそれぞれに共感できる人間の物語を3本をご紹介しました。 その1本は、台湾の大きな映画賞で4冠を獲得! 新たな価値観に触れて戸惑いながらも成長する少年の姿を描く感動『オールド・フォックス 11歳の選択』。
物語の舞台は1989~90年、厳戒令が解除され、投資が自由にできるようになった台湾のバブル時代です。 11歳の男の子リャオジエは、台北郊外のレストランで給仕長を務める父タイライと2人暮らし。夢は、家を買って亡き母の願いだった理髪店を開くこと。そのため父と子は節約してコツコツ貯金に励んでいます。 ある日、リャオジエは“腹黒いキツネ”と呼ばれる老獪な事業家のシャ社長と出会います。彼は、優しくて誠実な父とは真逆で、生き抜くためには「他人なんか思いやるな」と言います。地道に働き他人を思いやっても家も買えない父と、他人を蹴落とし多くの財産を築いたシャ社長。バブルでどんどん不動産の価格が高騰し、家を買う夢が遠のいていくのを目の当たりにして、リャオジエの心は揺らぎ始めます。 そして、図らずも、人生の選択を迫られたリャオジエが選び取った道とは……!?
中国語で“同理心=共感・人への思いやり”をテーマにした映画を作りたかったというシャオ・ヤーチュエン監督は、「子供の頃、他人に配慮することは大切だと教わってきたのに今は違うと感じる。台湾はいつからこうなったんだろうと思いながらこの作品を作った」といいます。バブルで拝金主義がはびこっていた時代を知る日本人にも、他人事とは思えない、心にズンとくる作品です。 大人だって踊らされていたのに、11歳の子どもにとってはどれほど衝撃的だったことでしょう。
そんな周りの大人に影響される子供の心を見事に表現したのは、天才子役バイ・ルンイン。昔の子どもを演じるため1カ月前から携帯電話を使わず、当時のお風呂の入り方も練習したそうです。 そして、W主演、父親のタイライ役は、『1秒先の彼女』で日本でも人気のリウ・グァンティン。真面目で思いやりがあり、本当に素敵なお父さんを演じました。