関西六大学野球・大商大が6季連続V…指示は「打て」それでも「自分の判断でバント」4番渡部の執念実った逆転サヨナラ
関西六大学は、大商大が九回逆転サヨナラ勝ちで大経大を下し、6季連続27度目(旧リーグ時代含む)の優勝を決めた。全日程が終了し、大商大の渡部(4年・広陵)はこの試合3打数無安打で、通算安打記録(119安打)の更新はならなかった。 【図表】関西六大学野球勝敗表
八回まで「0」が並んだ試合は九回、17年ぶりの優勝を目指す大経大が均衡を破った。
土壇場に追い込まれた大商大はその裏、安打と死球で無死一、二塁とすると、打席には4番渡部が入った。通算安打のリーグ新記録がかかる主砲への指示は「打て」。だが、渡部は「自分の判断で送りバントした」と投手前に転がした。「一死二、三塁のほうが点が入りやすい」。優勝への執念が、後続打者の心に火を付けた。
続く春山(2年・敦賀気比)の遊ゴロが敵失を誘い同点。さらに二死満塁から代打蜷川(3年・広陵)の左前打で決着をつけた。捕手の蜷川は敗れた1回戦で9失点。2、3回戦は先発マスクを譲った。「出番があれば絶対やってやろう」という意地の一打だった。
大商大は選手の入れ替えが多い。今季初戦出場なしから次戦で1試合3本塁打を放った春山のように、競争の中で結果を残す選手が現れることで、白星を積み重ねた。主将の吉岡(4年・奈良大付)は「結果を出さなければメンバー外になる。失敗しない練習で鍛えてきた」と胸を張った。劇的な6季連続優勝の陰に互いの切磋琢磨(せっさたくま)がある。(松本慎平)
大商大(2勝1敗)2―1大経大=勝ち点大商大5、大経大4、龍谷大(2勝1敗)3―0大院大=勝ち点龍谷大3、大院大0
最優秀選手賞に大商大・渡部
秋季リーグの最優秀選手賞に大商大の渡部聖弥が選ばれた。打率4割3分8厘で、首位打者(2度目)にも輝いた。最優秀防御率賞は大商大の星野世那(2年・近江)が防御率0・29で獲得した。このほかの表彰選手は次の通り。
ベストナイン▽投手 林翔大(大経大)▽捕手 北村音湧(同)▽一塁手 下山滉太(同)▽二塁手 大西拓磨(同)▽三塁手 渡部▽遊撃手 坪山雄大(大経大)▽外野手 柴崎聖人(同)、春山陽登(大商大)、市橋昂士(龍谷大)▽指名打者 河渕巧(京産大)
平古場賞(新人賞)春山、市橋、西田大志(京産大)、山本敦広(同)▽担当記者クラブ賞 渡部、春山