【ロシア生まれの武骨な四駆】戦場カメラマン・横田徹がラーダ・ニーヴァを愛車にする理由
パーツの入手が困難。世界中から探してもらう
横田さんがニーヴァを購入しておよそ1年経った2022年2月下旬、ロシアのウクライナ侵攻が突如として始まった。西側諸国から様々な経済制裁を受けているロシアでは、個人間の郵便物などは行き来できるものの、自動車のパーツなど、メーカーが製造した工業製品を日本に輸出することは固く禁止されている。 この状況はロシア車であるラーダ・ニーヴァのパーツの入手にも大きく影響した。 「購入した頃は侵攻前だったので、パーツもロシアから直ですぐに買えましたね。それがだんだんと時間が掛かる様になり、今は入手するのも大変です。ニーヴァは海外でも人気があり、西側諸国で乗っている人も多数存在します。カザフスタンやエストニアにも部品があるようなので、世界中で探してもらっています。 僕のニーヴァは品質が良いとされるドイツ仕様で、かつてはドイツに部品もありました。でも、今はもうなくなりましたね。世界中探してそれでもないから、樹脂部品なら友人に3Dプリンターで作ってもらったりしています」 『3Dプリンターで樹脂部品』というきっかけは、小さな事件だった。横田さんが国道246号線をニーヴァで走行中、アンテナを留める樹脂部品が飛んで行ってしまったのだ。そのパーツがなくなるとアンテナが倒れてしまう。新たに入手するのも大変だ。 「ダメ元でクルマを降りて探しに行ったんですが、なんと! センターラインのところに飛んで行ったパーツが置いてあったんですよ。即座に拾って、もう一度取り付けました。その話を友達にしたら『最高の3Dプリンターを持ってるから作ってあげるよ!』と言って、最高品質の樹脂とプリンターで、最高のパーツを作ってくれました(笑)」
壊れやすいというイメージがあるニーヴァ。実際のトラブルはどう?
ロシアから直接中古車として輸出された車両は、トラブル続出で苦労しているオーナーも多い。横田さんのニーヴァはドイツ仕様で、ガソリンはハイオク指定。品質はかなり良いそうだ。 「僕のニーヴァはすごい優等生ですよ。3年間で3万km走りましたが、そこまで大きなトラブルがないのは珍しいです。ドイツから日本に来たのは2014年ですが、前のオーナーが屋内保管していて距離も少なく、とてもきれいな状態でした。だから多少高かったのですが、その分壊れないし、きれいだし、とても満足しています。お金を出しても入手できないパーツが増える中、最初は多少高めでも、安く買って苦労するよりいいですよね」 横田さんは日頃、どんなことに気を付けてニーヴァを運転しているのだろうか? これからオーナーになりたい人にも参考になる話を伺った。 「寒い国で作られたクルマなので、夏は基本的に乗らないようにしています。真夏の渋滞する高速道路なんて絶対乗ったらだめですね。オーバーヒート必至です。エアコンなんてつけたら、バッテリーが不調になります。 日本の夏は異常ですから、夏場は無理させたらダメですね。 その分、冬はめちゃくちゃ調子いいですよ! 暖房も凄まじく良く効きますし。ウクライナに行ったときも、マイナス40度という極寒の地でも、ニーヴァをはじめとしたロシア車が元気に力強く走り回っていて、これはすごいな、と。日本で除雪してない山に行きましたが、何の問題もなく、岩ゴロゴロの道なき道も平気で走って行きます。車重が軽いというのもあるんでしょうけど、期待通りの悪路走破性を発揮してくれます。夏の暑さにだけは気を付けてあげましょう」