【宏太’Sチェック】J1札幌にはチームがバラバラにならないためFWの得点が何より求められる
◇J1第16節 鹿島3-0札幌(25日・札幌ドーム) 立ち上がりこそうまくこなしているように見えた鹿島戦だったが、相手に怖さを与えられなかったから、圧力に負けていく格好となった。ビルドアップは相手を動かすためにするが、ボールロストを恐れ、ボールは動いても人が動かないようでは、相手は全く怖くない。 ボランチやシャドーに後ろから当てて、高い位置を取ってサイドをしっかり使うというシンプルなやり方でいいのだが、ボランチに入っても前やサイドの動きが消極的だから、プレーが止まってしまい、後ろに戻す状態が続いた。うまくいかない時こそ、原点に帰って相手を動かすポゼッションや、スムーズに人が動くことができるボール回しを思い切って狙わないと。 負傷者が多く出たことから先発で使ってもらった選手にはミスを恐れず、思い切ってやってほしかった。得意な部分を出すことを期待されているのに全く見られなかった。まずは120%自分の良さを見せて、苦手な部分は必死に頑張って補えばいいのだから。一方で後半途中から入った長谷川や田中克幸らが何かを変えようという気持ちが見え、局面を変えられるプレーを見せてくれた。その姿勢は、数少ない光だった。 苦しい状況から抜け出すためにも、いまだ得点のないFWにゴールをこじ開けてほしい。シャドーをうまく使うことなどを求められているのは分かるが、もっと自己中心的になっていい。チャンスの時だけ顔を出すのではなく、自分で動き出してチャンスをつくる。ゴールに直結する動きをし続けることで、相手も警戒し、結果的にシャドーを使えるようになるのだから。後ろの選手もマンツーマンDFの際にできるギャップへの対応など改善点はあるが、これだけ点が入らないとしびれを切らしてしまうもの。チームがバラバラにならないためにも、FWの得点が何より求められる。(吉原 宏太、1996~99年札幌FW)
報知新聞社