「パーパスにクレド…もうお腹いっぱい!」カタカナ語に振り回される会社と改革につなげる会社の“決定的な差”
● パーパスを浸透させるために 本当に必要なこと とはいえ、パーパスを新たに導入した企業は、これらの概念を社員にしっかりと伝え、浸透させなければならない。具体的には次のようなことに取り組むことになる。 コミュニケーションの強化 例えば、オリエンテーション、研修プログラム、社内会議、ニュースレターなどを通じて、これらの概念を定期的に従業員に教育し、議論する機会を設ける。 具体例の提示 理念やパーパスを抽象的な言葉でなく、実際のビジネスプラクティスや社内外の活動を通じて示すことで、これらがどのように日々の業務や意思決定に影響を与えているのか、従業員がより具体的に理解できるようにする。 リーダーシップによる体現 トップマネジメントやリーダーたちが企業理念とパーパスを積極的に体現し、その重要性を強調することが従業員の理解と共感を促す鍵となる。リーダーは、実際の行動で示しつつ、自分の意思決定や行動が、企業理念やパーパスのどの部分を反映しているかを後に表明することで概念を定着させる。 フィードバックと対話の促進 従業員が企業理念やパーパスについて質問や意見を自由に表現できる文化を育む。面談やディスカッションの時間を設け、対話を通じて従業員の疑問を解消し、彼らの視点を取り入れることで、これらの概念に対する理解を深める。 定期的な評価と見直し 企業理念やパーパスが実際の業務や社内文化にどのように反映されているかを定期的に評価し、必要に応じてこれらの概念を更新、または再度、強調する。 こうした取り組みを通じて、従業員は企業理念とパーパスの概念、違いなどを学び、それぞれが自身の仕事や企業の目標にどのように関連しているかをよりよく理解し、認識することが可能になる。
● なぜ新たにパーパスという 概念が必要なのか ここまで徹底してやれば、企業の中に一貫したブレない基準が育つ。特に、これまでの企業理念ではなく、あえてパーパス経営をすべきだと説く提唱者たちは、新たなコンセプトのもと、企業がただ利益を追求するだけでなく、より広い社会的な使命や目的を持つべきだと強調している。このことには大きな意味があると思う。 例えば、パーパス経営の提唱者たちはパーパス経営の原則として、次のようなことを主張している。 社会的責任を果たす 企業の社会的責任は、持続可能な環境への配慮、公正な労働慣行の推進、地域社会への貢献などを通じて実現される。企業という主体は、利益追求の手段としてあるだけではなく、社会的価値の創造者としての役割を果たすべきである。 従業員のエンゲージメントと幸福度の向上 パーパスが明確な企業は従業員のモチベーションを高め、職場の幸福感を増す。従業員が自分たちの仕事がもたらす影響を理解し、より意味のある仕事に従事していると感じられるような環境を提供する。 長期的な持続可能性 短期的な利益を超えて、長期的な視点を重視する。企業が直面する社会的、環境的課題に対して責任を持ち、将来世代のために持続可能なビジネスモデルを追求する。 ステークホルダーとの関係 顧客、供給者、地域社会など、全てのステークホルダーとの健全な関係の構築を重視する。企業はステークホルダー全員に価値を提供することに傾注し、これによって企業自体の長期的な成功を図る。 透明性と説明責任 企業は自らの行動に対し、透明性を高く保ち、説明責任を負う。このことで、企業の信頼性が向上し、ステークホルダーから確実な支持が得られる。