憧れのタワマン「豪華共用施設」にご用心 維持費は管理費の高額化に直結、後々になって「金食い虫」として見直す事例も続々
機械式駐車場の埋め戻しをすることになったマンションも
国土交通省の調査によると、マンションの管理費の全国平均は1平米あたり200円程度が相場で、東京都区部に限って言うと、全国平均より1割ほど高くなります。 これに対し、共用施設の充実しているタワマンの管理費は1平米あたり300円を超える場合が多く、なかには350円を超える物件も。管理費は原則として「専有部分の床面積割合」に応じて負担する金額が決まるので、専有部分が70平米だとしたら、管理費だけで2万4500円。これに修繕積立金が上乗せされれば、月々のランニングコストだけで3万~4万円もかかってしまいます。 マンションによっては、後々になって「金食い虫」の共用施設の見直しを行っているところもあります。たとえば、ファミリー向けマンションの場合、一次取得者層は小さな子どもがいる世帯が多いので、新築間もない頃にはキッズルームが大賑わい。しかし、10年も経つとその子どもたちはキッズルームに足を運ぶ年齢ではなくなったため、キッズルームをスタディルームに作り替えた事例があります。 また、国土交通省では一定の規模以上の建築物について、駐車場の附置義務を課しているため、大規模マンションには必ず駐車場があります。都心部の場合、機械式駐車場を設置しているケースが多いのですが、維持・管理費用は非常に高額。車離れの加速で利用者が減り、駐車場利用料の収入が減っているマンションも増えています。そのため、住民が総会で話し合った結果、機械式駐車場の埋め戻しという思い切った選択をした事例も。 豪華な共用施設は物件の目玉であり、資産性を高める役割も担っています。そのような施設が売りのマンションを検討する場合は、高いランニングコストを支払い続けることができるのか、よく考える必要があるでしょう。 ※長嶋修・著『マンションバブル41の落とし穴』(小学館新書)より、一部抜粋して再構成 【プロフィール】 長嶋修(ながしま・おさむ):1976年東京都生まれ。不動産コンサルタント。さくら事務所会長。1999年、不動産コンサルティング会社「さくら事務所」創業。著作に『バブル再び 日経平均株価が4万円を超える日』など多数。最新刊は『マンションバブル41の落とし穴』。
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