水樹奈々が明かす初の恐竜役で感じた役作りの難しさ 声優として大切にしている考え方も
2023年に公開された映画『しん次元!クレヨンしんちゃん THE MOVIE 超能力大決戦~とべとべ手巻き寿司~』は興行収入24.7億円を突破し、シリーズ史上No.1を記録した。そして、大人気シリーズの『映画クレヨンしんちゃん』の最新作『映画クレヨンしんちゃん オラたちの恐竜日記』が8月9日に公開。公開4日間で、観客動員51万人・興行収入6.3億円突破し、シリーズ歴代No.1確実のスタートとなっている。 【写真を見る】『映画クレヨンしんちゃん オラたちの恐竜日記』でナナを演じる水樹奈々 31作目となる本作は、しんのすけたちカスカベ防衛隊と野原家の愛犬・シロが小さな恐竜・ナナと出会い、お互いに心を通わせていく物語。ゲスト声優として、北村匠海とオズワルド(伊藤俊介、畠中悠)が出演することでも話題となっている。 今回は物語の鍵を握る小さな恐竜・ナナを演じる水樹奈々にインタビューを行い、「難しかった」という役作りについて語ってもらった。 ――本作は『映画クレヨンしんちゃん』シリーズの31作目となります。老若男女愛される作品に出演すると決まった時はどのような気持ちでしたか? 「とても嬉しかったです。子どもの頃からテレビシリーズや映画で見ていた『クレヨンしんちゃん』に参加することができて本当に幸せだなと思います」 ――大人気シリーズということで反響も大きかったのではないでしょうか? 「ありがたいことにすごくいただきました。予告を見た方からすぐに『奈々さんと同じナナという名前の恐竜なんですね』とメッセージをいただいて。みなさん本当に喜んでくださっているので私も嬉しいです」 ――今回はしんのすけたちが恐竜のナナを守るために東京・渋谷で奮闘する姿が描かれていますが、台本を読んでみていかがですか? 「まず読んで泣きました(笑)。しんのすけたちのピュアな思いがビシビシと伝わってきましたし、家族の愛だったり、カスカベ防衛隊の固い友情を感じて、明日からも頑張っていこうと前向きな気持ちにしてくれる作品だなと思いました」 ――物語の鍵を握る小さな恐竜・ナナ役として出演されています。演じる上で大事にしていたことや意識していたことを教えてください 「言葉を喋れない恐竜ですが、キャラクター作りは人を演じる時と全く同じアプローチでした。台本上には"な"という単語しか書かれていませんが、ナナは何を感じて、どんなことを相手に伝えたいんだろうと自分の中で考えて言語化し、それを相手に届けるには、どんなニュアンスで表現すればいいのか、研究しました。画面いっぱいに躍動的に動き回るナナを、より生き生きとさせるため何度も映像を見返しました」 ――ナナの声には水樹さんの試行錯誤や思いが詰まっているんですね 「はい。人のキャラクターを演じるより難しいと改めて思いました。私はいつもキャラクターの骨格からイメージを膨らませて声をつけていくのですが、今回もナナの絵を見た時に、こういう口の形と動き方をするから、きっと音はこんなふうに響いて出るんじゃないかと想像しながら演じていました。ただ可愛い声を目指すのではなく、そこに性格がにじんでこなくてはいけない。言語を持たないぶん、そこが難しいですよね。しかも今回はシロという恐竜でも人でもない存在と心を通わせるシーンが主軸にあるので試行錯誤しました」 ――今のお話を聞いていると、ナナという役はアフレコ現場での共演者との掛け合いが大切のような気がするのですが、今回のアフレコは一緒に撮ることができたのでしょうか? 「ここ数年はコロナ禍で分散収録が続いていたのですが、今回はみなさんと一緒に録ることができたので本当に嬉しかったです! リアルなみなさんのお芝居を聞きながら掛け合いができたので、自然と溶け込んでいくことができました」 ――本作でナナはしんのすけにとって大切な存在として描かれています。水樹さんにとって大切な存在はいらっしゃいますか? 「やっぱり自分の家族とチームが一番大切ですね。自分と同じ志を持って一緒に戦ってくれるチームがいるのは本当に幸せなことだと思います。そういった人とのご縁を、私はものすごく大事にしています。そのおかげでいつもフルパワーで、いろんなことにチャレンジできています。そして何といっても応援してくださっているファンのみなさんの存在は私にとってかけがえのないものですね」 ――声優として活動していく中で、大切にしていることを教えてください 「やっぱり今の活動を好きで居続けることですね。それがある限り、どんな壁にぶつかっても乗り越えていけると思っています。そのパワーがないと、ポジティブに探求していこうという気持ちが薄れてしまうと思うんです。そして、常に緊張感を持ち続けることも大事にしています。長く活動していると慣れてきてしまい、現状維持にとどまってしまいがちなので、常にチャレンジすることを忘れず、新しい目標を見つけて更新していけるように意識しています」 ――その考え方はデビューした時からなのでしょうか? 「そうですね。私はデビューできたことが奇跡みたいな状態だったので(笑)。ボイスサンプルもなく、オーディションテープも自宅でラジカセで録音していました(笑)。プロデューサーさんがたまたまライブを見に来てくださって、スカウトしてくださったところから始まっていて。もちろん単発契約で、次はいつCDを出せるか分からない状態だったので、当時からずっと危機感が続いています(笑)。なので、毎回これが最後だと思って全力投球で挑んでいます。悔いを残したくないですし、逆に全部出し切ることで次のアイデアが生まれることもあるので、常に緊張感を持って自分の限界を超えることを目標にしています」 ――今作を通してどのようなことを感じてもらいたいですか? 「『クレヨンしんちゃん』らしい笑いあり涙ありの様々なエンターテインメントがぎゅっと濃縮された作品になっています。100分以上の上映時間ですが、本当にあっという間で幅広い年代の方に楽しんでいただけると思います。子どもの頃からクレヨンしんちゃんを見られていた方はご存じだと思いますが、子どもの頃の感じ方と、大人になってからの感じ方って、全然違うものなので、大人の方にもぜひじっくり見ていただきたいです。ぜひご家族や大切な人と見に行っていただきたいです」 取材・文=川崎龍也
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