アルゼンチンは今 1年経ったミレイ政権の評価 一見荒唐無稽だが有言実行の人 ブエノスアイレス 相川知子
チェーンソーを振り回すミレイ大統領とは
チェーンソーをふりまわすというミレイ大統領の行動はときに荒唐無稽のようにみえる。 だが、すでに18省から9省に減少した閣僚たちには、クリスマスから年末年始にかけて、国民に配慮した慎ましい休暇を取るよう求められた。一方、ミレイ大統領自身は、大統領避暑地チャプドマラル(大西洋沿岸)での週末休暇さえ取らず、オリーボスの大統領府官邸で家族と新年を祝っただけであった。 極限まで無駄な支出を減らすことに関して、まさに有言実行といえる。
1月はトランプ大統領就任式とダボス会議に出席
ただし、1月20日に予定されているドナルド・トランプのアメリカ大統領就任式に招待されているため、アメリカでの就任式出席後、スイスへ向かい、ダボスフォーラムに二回目の出席を予定している。 2024年はアルゼンチン史上初の自由主義政党の政権が世界的に注目される中、同フォーラムに出席し、世界の政治経済の潮流を批判し大きな話題を呼んだ。2024年は合計18回の外遊を行った。 「アルゼンチンを今一度偉大な国にするため、共に向かっていきましょう」という国民へのメッセージを実行する意気込みを世界に向けて示す機会だ。 また、今年は国会選挙に加えて、IMFとの交渉がミレイ政権を待ち受けている。
有言実行のミレイ大統領
インフレを抑制させ続け、2024年最後の12月のインフレ率は3%と予想されていたものの、2025年1月1日に発表されたインフレ率は1・4%だった。大統領に就任した2023年末時点でのインフレ年率が200%以上に達していたことは記憶に新しいだろう。 ミレイ大統領の態度は時に荒唐無稽に見えることもある。公共の場で時折、「carajo」(直訳すると「クソッタレ」ですが、力強い言説を込めたインフォーマルな表現としても使われる)などの言葉を頻繁に使用するため、大統領としての品位を欠くとの批判を受けることもある。 しかし、その一方で、多くの若者は、政治思想や嗜好が異なっても、「自分の考えを率直に言う真摯な人」として、ミレイ大統領を評価している。(1月2日記)