社会保険の壁「106万円の年収の壁」がなくなると“手取り”は増える?減る?新たな「週20時間の壁」とは…【年収シミュレーション】
この「106万円の壁」となっている社会保険適用の条件について、厚生労働省の「働き方の多様化を踏まえた被用者保険の適用の在り方に関する懇談会」の資料をもとに、どういった議論がなされているか、詳しくみていきます。 ■どうなる?社会保険の適用条件(労働時間・賃金・学生除外・企業規模) ▼労働時間要件(週20時間以上) まず、労働時間の要件は、雇用保険法の適用基準などを参考に設定されたものとのこと。 この雇用保険については、2028年10月から、要件となっている週の所定労働時間が「20 時間以上」から「10 時間以上」に変更され、適用対象が拡大されることが決まっています。 また、最低賃金の引上げなどにより賃上げが進んでいるため、労働時間が週20時間未満であっても賃金要件を満たす場合が出てくることを踏まえ、労働時間要件の引下げを検討する必要がある、とのこと。 ただ、被用者保険の適用が拡大すると、保険料や事務負担の増加といった企業等への影響が大きいことから、雇用保険の適用拡大の状況等も慎重に見極めながら検討を行う必要がある、とされています。 ▼賃金要件(月額賃金が8.8万円以上) この要件は、国民年金と厚生年金について、負担や給付水準とのバランスを図るために設定された基準であるとのこと。 この要件についても、最低賃金の引上げに伴い、週20時間以上の労働時間要件を満たせば、自動的に満たすようになってきていることを踏まえ、検討を行う必要がある、とされています。 ▼学生除外要件(学生ではない) 学生を適用対象外とすることは、短期間で資格変更が生じるケースが多いため手続が煩雑になるとの考えから、設定されたものであるとのこと。 本要件については現状維持が望ましいとの意見が多く、見直しの必要性は低いと考えられる、とされています。 ▼企業規模要件(従業員数が51人以上の企業) この要件は、中小の事業所への負担を考慮して、激変緩和の観点から段階的な拡大を進める目的で設定されたものとのこと。 ただ、この要件は、2012年の改正法の附則に「当分の間」の経過措置として規定されているとのことで、事務負担や経営への影響に留意しつつ、撤廃の方向で検討を進めるべき、とされています。