落語家・林家つる子 女性初の抜てき真打が挑戦する“女性目線で描く古典落語”とは
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落語協会としては初となる、女性で抜てき真打となった林家つる子さんの、二ツ目最後の独演会を取材。古典落語を女性目線でアップデートする落語に挑戦しているつる子さんに、女性目線での落語に挑戦するきっかけや、ネタに込めた思いを伺いました。 【画像】落語協会として12年ぶりの抜てき真打昇進を決めた林家つる子 つる子さんは、大学時代に落語と出会い、卒業後、九代目・林家正蔵さんの元に弟子入り。2015年に『二ツ目』昇進を果たし、落語協会として約12年ぶり、女性落語家としては初となる抜てきでの『真打』に昇進。3月21日から鈴本演芸場を皮切りに都内5か所で45日間の真打昇進披露興行を行います。 ――抜てきでの真打昇進を聞いた時はどのように思われましたか? 素直にうれしいって思いはやっぱりありましたね。名前をあげていただけたということは何かしらを見てくださってた師匠方がいらっしゃったんだなというのはすごくうれしかったことでした。
■おかみさんを主人公に古典落語を描き直す
古典落語のほとんどは男性の落語家が作り上げた話芸といわれ、酒や遊郭遊びなど男性目線で語られる演目が多い中、つる子さんは二ツ目時代から、古典落語の名作『子別れ』や『芝浜』に登場するおかみさんを主人公にして女性目線で描き直すことに挑戦しています。 ――女性目線の落語に挑戦するきっかけを教えてください。 前座のころ、師匠方のトリのネタを舞台袖で聞いているときに、“このシーンの裏側ってどうなってたんだろう”って気になる話がいくつかあったんですね。特に『子別れ』と『芝浜』が、おかみさんの存在っていうのが気になって。やっぱり亭主が主人公で話が進むので、その裏でおかみさんがどういう動きをしていたか、どういう感情だったかっていうのが、なんとなく自分の中でこうだったんじゃないかみたいなのが膨らんできたので、おかみさんを主人公にした形で、スピンオフといえばいいのかわからないですけど、そういう形で挑戦したいなと思ったのがきっかけでした。 ――つる子さんの挑戦について、正蔵師匠はどんな反応だったのでしょうか。 この挑戦をするときに、事前にこういう挑戦をしたいと思っているんですって言わせていただいたんですね。そうしたら“いいんじゃないか、やってみろ”って。私が前座のころから師匠がかけてくださっていたお言葉があって、“とにかく頭でっかちにならずにいろんな事に挑戦していってほしい”と。古典落語の基礎を身につけて、良さをどんどん育てていくっていうのは重要で大切なことなんだけど、そのほかに、女性の噺家(はなしか)にしかできないことも俺はあると思うから、女性ならではの挑戦もどんどんしていってほしいと思っていると師匠がずっと言ってくださって。そのお言葉があったので、今回の挑戦もしてみようと思いました。