縫い針製造の資料300点搬出 氷見市立博物館、地震で被災の蔵から文化財レスキュー
富山県の氷見市立博物館は、能登半島地震で被災した家屋や蔵から古文書、民具といった資料を保全する「文化財レスキュー」に取り組んでいる。30日は市内の蔵から、かつての伝統地場産業、縫い針製造に関する資料など約300点を運び出した。 文化財レスキューは、文化財指定の有無にかかわらず、被災した古文書や美術工芸品などを搬出し、必要であれば応急処置を施す活動で、東日本大震災後に知られるようになった。 同館は、氷見の歴史を物語る大切な資料が廃棄されることを危惧し、13日にホームページで情報提供を呼びかけ始めた。これ以前にも2件の相談があり、計11件の情報が寄せられている。 30日は職員2人が、50年ほど前まで縫い針製造に従事していた家を訪問。壁やはりに損傷を受けた蔵から、製作工程が分かる素材や半完成品、磨く道具、製品ケースなどを搬出した。 縫い針製造は、明治から昭和まで氷見の主要産業で、戦後は全国シェア1位だった。同館に関連資料はなく、今回、重要な資料として寄贈を受けた。
同館の広瀬直樹学芸員は「地震による被害で、家に伝わってきた重要な資料が処分される恐れが出てきた。何とかして保存したい。気になることがあったら連絡してほしい」と話した。