三菱UFJが16年連続メインバンク首位 企業は信用、ステータス求める 帝国データ調査
帝国データバンクの全国企業「メインバンク」動向調査によると、令和6年は三菱UFJ銀行のシェアが6・33%と平成21年の調査開始以降、16年連続の首位となったことが16日、分かった。ただ、前年比0・11ポイント低下し、15年連続の縮小となった。調査結果ではネット銀行経済圏が中小企業に浸透し、メガバンクのシェアは今後も減少傾向が続くと強調。メガバンクとの取引は「信用力やステータスを欲しい企業が求める」と指摘した。 帝国データは特殊法人や個人事業主を含む147万社のデータベース(10月末時点)を基に、メインバンクと認識している金融機関を分析した。三菱UFJをメインバンクとする企業は9万3498社。前年比で1015社減っており、減少幅は昨年に引き続き、全金融機関で最大となった。 2位は三井住友銀行で、企業数は前年比655社減の7万5503社となった。3位にはみずほ銀行が648社減の6万443社で続いた。 ■ネット、地方銀行が存在感 1000社以上がメインバンクとしている金融機関のうち、前年からの純増数が最多だったのは、163社増の1万7898社だった埼玉りそな銀行。地方銀行や信用金庫、信用組合以外では楽天銀行(157社増の1368社)やPayPay銀行(165社増の1139社)など、ネット銀行の拡大も目立った。 帝国データによると、ネット銀行との取引がある企業はメインバンクでない場合も含めると1万3209社に上る。新興企業を中心に10年間で1万社以上増えた。決済手段として法人口座を必要としているが、融資やほかの銀行サービスを必要としていない新興企業が、決済手数料や基本利用料の低いネット銀行を選んでいるという。 業態別でみると、地方銀行が40・28%で最もシェアが高かった。中小企業にとっては、地域の金融機関が取り組んでいる「小回りの利く」融資や経営課題を解決まで導く伴走型の支援がメインバンクを選ぶ決め手になっているという。 ■メガバンクは中小よりグローバルに注力
日本銀行が今年3月に政策金利の引き上げを表明して以降、金融機関で利上げ交渉を進める動きが活発化している。帝国データの調査では、メガバンクとの取引が最も金利上昇の影響を受けているとの結果が出ているという。帝国データの担当者は「顧客は大企業が中心なので、金利上昇による利払い負担の増加を受け入れやすい」と分析する。「メガバンクは中小企業のシェア維持よりもグローバルビジネスに注力している。メガバンクと取引実績があるという信用力やステータスを求める企業が付き合っていくことになるのでは」と予測した。(高木克聡)