「紀州のドン・ファン」死後4カ月で、須藤早貴被告が「遺産7000万円」を“先食い”…役員の知らぬ間に株主総会を開催、詐欺罪で刑事告発
法の抜け穴
相続問題に詳しいWinslaw法律事務所の今田覚弁護士によれば、 「故人が保有していた株式は、遺産分割が行われるまで法定相続人たちの“共有状態”になります。そして、過半数の株式を受け取ることになる相続人が議決権を行使できるのです」 今回の場合、法定相続人は妻と野崎氏のきょうだいなので、彼女の相続分は遺産の4分の3。そのため、 「法定相続人である妻が、過半数の株式を保有しているとみなされます。彼女による議決権の行使は適法で、取締役の選任や、その報酬金額を承認して可決することも可能です。ただ、報酬として7千万円が引き出されたことで、会社の価値は大きく目減りしました。他の法定相続人たちが受け取る相続分、つまりは株式の価値が毀損されたに等しい。法の抜け穴を突く不公平な行為だと思います」 しかも、一部で報じられた「全財産を田辺市にキフする」との「遺言書」の存在は妻に不利に働きかねない。 仮に、この遺言に効力があると判断されれば、 「妻の受け取る遺産は2分の1だけとなる。相続する株式も過半数に満たないため、先の決議そのものがなかったことになり、7千万円を返還する必要が生じかねません」(同)
*** この記事が掲載された2年後の2021年5月、野崎氏の会社の元監査役の男性が、須藤被告を詐欺罪で刑事告発している。上記の社長就任が正当な手続きを経ておらず、会社の資金約3800万円を騙し取ったことになる、というものだ。 また、今裁判でも10月11日に、野崎氏の会社の元経理担当者が証人として出廷。須藤被告は「会社には一切来ていないし、業務をしていない」、約3800万円の送金についても「報酬はおかしい」と会社関係者に進言したが認められなかったと証言している。 被告人質問でもこの件は審理されると思われる。 注目の判決は12月12日に下される予定である。 デイリー新潮編集部
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