なぜ“マツケン”は若者ウケし続けるのか リアルとSNSの二面から背景を紐解く
筆者は30歳なのだが、ある日同世代の友達の家に行くと、そこには光り輝く松平健の「マツケンサンバ」グッズが飾られていた。カラフルで派手なデザインのマツケングッズは、とくに違和感もなく、友達の部屋に鎮座していた。 【写真】若者世代の心をとらえる“ド派手”なマツケングッズ そう、マツケンはいま若者を中心に人気を集めている。なぜいま、マツケンは若者にウケているのだろうか? まず、グッズに着目したい。マツケンのグッズは、全体的に若者に受け入れられやすいデザインになっている。とにかく派手でカラフルなのだ。そして筆者が友達の家で見たときに感じたように、「なんか欲しいかも」と思わせる何かがある。 実際、マツケングッズの販売は都心で定期的に行われている。2022年の年末から翌年にかけて、『渋谷PARCO』では「マツケンサンバ POP UP SHOP」を開催。そして今年10月18日からは同じく『渋谷PARCO』で「暴れん坊将軍 POP UP SHOP」が開催されている。2023年7月には、『池袋PARCO』でも「マツケンサンバ POP UP SHOP」を展開した。ついに今年の年明けでは、全国の『PARCO』でオリジナルグッズショップ「開運マツケン堂」が、期間限定でオープンした。 オンラインクレーンゲームサービス『DMMオンクレ』では、昨年好評だったことから、2024年2月から第2弾となる「マツケングッズ」の展開が行われた。 このようにここ数年、マツケングッズはポップアップやオンラインなどで頻繁に販売されている。そのグッズのどれもがキラキラのラメラメで、レインボーでカラフルだ。まさに“派手の極み”といったとこだろう。ちなみに「暴れん坊将軍」のグッズは、派手なデザインのなかに凛々しく佇む松平健の姿と、「成敗」「余の顔を見忘れたか」という作品の名セリフが混ざり、“いまっぽさ”と“昭和っぽさ”が共存しているような仕上がりだ。 このように若者が手に取りやすいデザインであることにくわえ、そのド派手さから、わかりやすい“縁起の良さ”を感じる点も、マツケンが人気を集め続ける背景にあるのではないだろうか。 マツケンが国民的認知度を誇っていることも、人気の理由にある。代表曲である「マツケンサンバII」をリリースし、大ヒットしたのが2004年。いま20代である若者世代も、幼いながらに記憶に残っているころだ。 2024年11月には、大阪の御堂筋で行われた『御堂筋ランウェイ2024』では、70歳でありながらも3回連続で15分間楽曲を披露。多くの街の人を沸かせた。 リアルの認知度は抜群であるのは当然だが、マツケンこと松平健はYouTubeやTikTokでも精力的に活動している。投稿頻度はややゆっくりではあるものの、いまどきのゲームやMBTI企画に上様が挑戦している姿を見ることができる。 YouTubeチャンネルに投稿されている「マツケンサンバII」のミュージックビデオは2400万回再生を突破(2024年11月現在)。ちょうど20年前に作られた映像には「公式なのに、ここまで非公式感出せるのは他にない」「開始1分主役いないのも、序盤の謎の桜とクソダサフォントも、途中のパワポで初めて作る映像みたいなのも、2番のスッピンとノリノリのスタッフ達も全部意味不明すぎて正気の沙汰じゃないところが大好き」「何かのCMだとかタイアップだとか、何らかの企画が先行して誕生した訳ではなくてただただ突然変異的に発生してるのが面白すぎる」と、いまの時代に見るからこそ感じられる絶妙な面白さが伝わってくる。 そして、「マツケンサンバが流れるような人生送りたいわ」「もう一年中マツケンサンバⅡでいい」「マツケンサンバが精神的に良いと聞いて来た マジでいい」と、コメントからもわかるように、見ている側はとにかく元気やエネルギーをもらっていることがよく伝わってくる。ちょっとツッコミどころがありつつも、底抜けに明るい「マツケンサンバII」だからこそ、ここまで愛される場になっているのだろう。 ネットでもリアルでも国民に元気と眩しい明るさを届けるマツケン。世代を超えて求められる理由は、そういった明るさを無条件に感じられるからなのではないだろうか。これからもマツケンは、みんなにとっての太陽でいて欲しい。
はるまきもえ