いまでもほしい、初代サバンナRX-7の、語りかけてくる46年前の販社オプション用品群【初代サバンナRX-7・SA22C型・1978(昭和53)年・番外編】
初代サバンナRX-7解説、第4回めにして最終回。 1978(昭和53)年当時の初代サバンナRX-7用販売店オプションをご紹介する。 といっても、カタログや説明書に載っていたもので、オプションカタログからのものではないため、お見せできるのはごく一部であることをご勘弁ください。 ではスタート! TEXT:山口尚志(YAMAGUCHI Hisashi) 【他の写真を見る】いまじゃあ見ない、初代サバンナRX-7の販社オプション ユーザー想いが見える、初代サバンナRX-7の用品たち 前回の初代サバンナ解説の、内装話の後編を書いているうち、資料として横に置いていた初代サバンナRX-7のカタログのほか、取扱説明書に載っていた、当時の販社オプション品を掲載した「純正品のおすすめ」が目を引いた。当時のマツダが「おすすめ」するなら話題にしない手はない。気が変わり、46年も経ったいまごろ、これらもページにすることに決めた。 というわけで、今回は初代サバンナRX-7解説の番外編として、当時のそれら販社オプション用品の一部をご紹介する。 いまどき見ないようなものもあるぞ。 こんどこそ最後にします。 いまじゃまず見ない、初代サバンナRX-7インテリア装備のあれこれ(画像46枚) まずは外装から。 ★マークは当時のカタログや取扱説明書の名称です。 また、カタログはサバンナRX-7登場時の1978年3月版を、取扱説明書は1980年6月版のもの(と思われるもの)を使用しています。 写真はカラーがカタログ、モノクロが取扱説明書のものです。 外装用 ・バンパーガードデッキ&フォグランプ 昔のクルマにはバンパー上部に「ガードバー」的な鉄パイプの標準装備品やオプション用品がよくあったものだ。 バンパーは本来、軽接触から車体を守るためのものだが、そのバンパーをさらに守ろうという品・・・なのだが、このサバンナRX-7に限らず、いちばんどこにもぶつからなさそうなバンパー上部に鉄パイプをめぐらせて何の意味があるのかないのか? 見るたびに不思議に思う。 カタログでは「RX-7のフロントノーズを引きしめるバンパーガードデッキ&フォグランプ。」と説明されている。 ・フォグランプ 「雨や霧の中でよりクリアーな視界が得られます。」 そう、フォグランプは霧の出ていないところでは使うべきではないのだ。 ・マイティ・ガード 「前方走行車がハネた小石などによる塗面のキズ付きを防ぎます。」 ぜひ防いでもらいたいもんだ。 いまは塗装がよくなったとはいっても、やはり他車がハネた小石の損傷は避けられない。洗車時に塗装傷を見つけて「あっれぇ? いつの間に」となった日には悲しくなる。 空気を切り裂くようなノーズの初代サバンナRX-7ならハネ小石を受ける確率が他と比べて高いのか低いのかわからないが、このようなガード、いまでもほしい。 リトラクトライトのまぶたの部分はきちんと切れ込みがあって開閉に応じて追従するようになっている。黒と赤の違いはあれど、それゆえに目を開いているときの顔は、まんがの「ど根性ガエル」に出てくる五郎に似ているような、似ていないような・・・ ・ネオンポール 「車庫入れやせまい路地などで車幅が楽に確認できます。」 ノーズが下がっているクルマが全盛のいまこそ、車両感覚の把握が苦手な人には必須だが、「カッコ悪いから」と選ぶ人が少ないのか、最近はオプションカタログにないクルマも出てきた。 空力スタイルのサバンナRX-7ならより有意義に思えるのだが、もともとフェンダーミラーがあるし、リトラクトライトを開けておけばそれだけで「車幅が楽に確認でき」そうなので(運転席からまぶたが見えるくらいの座高の人なら)、このクルマのユーザーにはあまり選ばれなかったのかもしれない。 ・ルーフキャリア 「愛用のスキーや、長尺物がスマートに運べます。」 単なる鉄パイプの組み合わせなのが当時風。いまなら鉄は芯材に充て、表面は樹脂なりゴム素材などで覆うところだ。 左右のルーフサイドを橋渡しする2本の鉄パイプと、その上の両サイドがやや上にスイングした鉄パイプの組み合わせ。 いっけんスカスカに見えてもタテヨコに走っているから積載物をロープでがんじがらめに縛るのに便利そうだ。 ・スキーキャリア 「グラスハッチバックを開くときスキーが左右に広げられます。」 うん、よくぞ気づいた。 もし自分がこのキャリアの設計者だったら、開けたガラスハッチが屋根上のスキー板にぶつかることを忘れて固定式にしそうだ。その場合、ガラスハッチを開けたとたんに「ビシッ!」とひびが・・・ 上から見てハの字に開いてすむのは、後ろすぼまりになったボディ幅よりさらに狭いガラスハッチのサバンナRX-7だからこそ。ルーフ幅と同じ幅になる通常のハッチバックとなるとこうはいかない。 ・ルーフバイザー 「直射日光や雨をさえぎります。」 むかしのバイザーは金属製が多かった。このルーフバイザーが金属製なのか樹脂製なのかは、このモノクロ写真では判然としないが、昔のヤツはいかにも「庇(ひさし)!」という形をしていて、いまのスタイリッシュなバイザーのように、半透明の樹脂でドアガラス上部とラップする形状になってはいない。このへんも空力対策とやらで形が変わったゆえだろう。 ・アルミホイール カタログでは「軽量、かつ強度の高い5 1/2JJ×13・アルミ合金ホイール。ばね下重量の軽減に効果的です。」と謳い、説明書では「美しく、また重量が小さいので走行性能が高まります。」と。 アルミホイールは最上級リミテッドに標準なので、その他の鉄ホイール車用が主だろう。 そのリミテッドのアルミホイールは、ロータリーエンジンのローターを模した三角おむすび型デザイン。こちらのほうが魅力なので、もし自分がリミテッドのオーナーだったらわざわざこのオプションは選ばないと思う。 ・ストライプテープ/サイドストライプ カタログには特に説明はないが、取扱説明書では「サイドビューをぐっと引きしめます。」とある。1978年3月登場時と1980年6月時? とで、「RX-7」の書体が異なるのが芸が細かい。あるいは数種類あったのかも知れない。 ・リアデッキガード/リヤーガードデッキ カタログには「荷物の積み下ろしの際ボディを守るリアデッキガード」とあり、取扱説明書では「荷物の積み降しの際、リヤーデッキを守ります。」とある。 カタログと取扱説明書とではわずかに形状が変わっており、この取扱説明書=1980年6月? 時点ではシンプルな形になっている。 こんなところに鉄パイプをつけるなんて、ガラスハッチを開けての荷の出し入れではかえって邪魔になるような気がするが、じっと見ているうち、何かをコロンと落としたときにバンパーやランプまわりをほんとにガードしてくれる、お役立ち用品に思えるようになってきた。 ただし! 同じ目的のものなのに、名称の「デッキ」と「ガード」が入れ替わっとるで。 ・マッドフラップ 「雨や、ミゾレの日に泥をハネません。」 昔のマッドガード(これは「マッドフラップ」だが)は、薄めのゴム板でひらっひらのぴらっぴらだった。この部分、いまは樹脂成型のしっかりした出来のものが多いが、あれは裾が車輪止めに乗り上げたとき、「ガリッ!」と結構大きな音がして、「どっかにぶつけたかっ!?」とびびるので困る。本当はフラップでぴらぴらしてくれるほうがありがたい。 車内用 ・カーエアコン 「真夏や梅雨時も爽快。イライラをなくします。」 たぶんサバンナRX-7ともなると、冷房の販社オプション品は、助手席のグローブボックス下に吊り下げるクーラーはなく、エアコンだけだと思う。 昔はクルマの冷房は贅沢品で、後ろのガラスの下に「冷房車」なんていうステッカーが貼ってあるクルマを見かけようものなら、私が幼少時の頃のように、クーラーのないクルマに乗る者は憎たらしく・・・いや、うらやましく思ったものだ。 21世紀のいま、エアコンなんて、新車の用品カタログでは絶対に見かけることのない販社オプション品の大ものだ。 ・カーステレオ 「車内をすてきなオーディオルームに仕立ててください。」 前回の「ハイエース」のときにも書いたが、クルマのオーディオと呼べそうなものなんて昔はAMラジオくらいのもので、それ以上は望まれない時代だった。カーステレオなんてとてもとても。好みの音楽を走りながら聴けるなんて、相当贅沢に感じたことだろう。 あと、「・・・仕立ててください。」と、説明書がオーナーに語りかけてくるところがいい。 ・フロアマット 「足元を豪華に、美しく、とてもソフトな感触です。」 なにぶん写真がモノクロなので、豪華にも美しくも見えず、ソフトな感触であるようには見えない。実物は豪華で美しく、ソフトに見えるのだろう。 それにしてもFRだからなのか、昔は設計がシンプルだったのか、いまのクルマのフロアが複雑すぎるのか、マットの輪郭形状がいまのマットに比べてずいぶんシンプルだ。 ・トノーカバー/トノウカバー カタログでは「簡単に引き出してカーゴルームを人目から守るトノーカバー。」、取扱説明書では「積んだ荷物が外から見えません。」とアピール。 当時にして、現代のクルマ並みにちゃんとロールしてひっこめられるのがえらい。逆に最近のクルマにこそ少なくなっているような気がする・・・「トノーカバー」「トノウカバー」の表記がいい。 というわけで、初代サバンナRX-7解説、こんどこそこれで終わり。 また何かやる場合はそのときにお逢いしましょう。 個人的には「MFクルマなんでもラウンジ」「いまさら! ジムニーシエラ」でお逢いしましょう。
山口 尚志
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