健大高崎の初戦の相手は昨春に智辯和歌山を破った“ジャイキリ校”英明!抜群の「経験値」と「伸びしろ」でセンバツ王者撃破に挑む!【注目チーム戦力分析】
もはや英明の「宿命」かもしれない。 昨年はセンバツで智辯和歌山(和歌山)、作新学院(栃木)、夏は智辯学園(奈良)と、いずれも春夏いずれかの甲子園優勝経験を持つ強豪と対戦。そして今年の夏初戦はセンバツ王者の健大高崎(群馬)との対戦が決まった。数字上で勝っているのは健大高崎が「9年ぶり」、英明が「2年連続」という夏甲子園の経験値くらいだろう。ただ、今年の英明はこの経験値を最大限に活かしつつ、個々の伸びしろを発揮できるメンバーが揃っている。 夏の甲子園ベスト8に進むのはこのチームだ! 初戦から好カード続出の大会を大胆予想! まず「経験値」。その筆頭格はエースナンバーを背負う清家 準投手(3年)であろう。その特長を一言で表現すれば「クレバー」である。最速143キロ、常時130キロ中盤のストレートと、「決勝戦の高松商には後半まで隠し持っていた」フォーク軌道のツーシームなど5種類の変化球を腕の位置も変えながら投げ分ける。香川大会では4試合28回3分の1で防御率1.27。旧チームでは三塁手も兼任しているフィールディングの確かさも光る。 さらには、旧チームから「1番・遊撃手」を務める鈴木 昊内野手(3年)は香川大会20打数10安打とバットコントールに長け、高校日本代表候補の3番・百々 愛輝外野手(3年)は、昨年のセンバツで本塁打を放つも今年は「四球で喜べるようになりたい」とつなぎ役に徹する構えだ。平見 歩舞外野手(3年)を間に挟む1・2・3番は全国でも通用する上位打線といえよう。 対して「伸びしろ」の筆頭格は「僕はあくまで4番目のバッター」と公言する丸與 昊大内野手(2年)。香川大会決勝・高松商戦では2本のスクイズを決めるなど、小技にも対応できるプレー幅の広さが特長である。 また2番手格の植上 大雅投手(2年)は、身長190センチの長身から最速143キロのストレートと「準決勝の三本松戦ではよく決まった」と話すスプリットなどを投げ下ろす。香川大会11回3分の2で無失点の好投を見せ、2025年のドラフト候補右腕としても期待がかかる。投手陣を巧みにリードした橋本 結真捕手(2年)も遠投100メートル、二塁送球タイム2秒切る強肩の持ち主。5番の山口 裕生内野手(2年)も俊足とアグレッシブなプレーを前面に押し出す隠れた注目の2年生たちだ。 そんなチームを率いるのは2019年に父・香川 智彦氏(現:藤井学園寒川監督)からバトンを引き継いだ香川 純平監督。昨年は寿賀 弘都投手を最終的に投手として再生させ、オリックス・バファローズ育成1位指名につなげるなど、選手のコンディション把握やメンタルコントロールを得意分野としている。8月に入り清家から森 優雅内野手(3年)に主将を交代させた理由も「清家の負担を少しでも減らしたかったし、森は副主将でベンチのムードメーカーなので」と、細部に目を配れる気遣いも持ち合わせている。 昨夏甲子園の智辯学園戦では寿賀とサイド右腕・下村 健太郎投手(現:城西大1年)による「猫の目継投」が話題を呼んだが、今年は「監督が目立ってはダメ。選手がプレーしやすいようにしたい」と正攻法で挑む構え。香川大会を通じ一戦ごとに勝負強さを積んだ彼らが、センバツ王者に一撃を加えることができるのか注目だ。
寺下 友徳