御堂筋で進むイチョウの雄木植え替え 減少していく銀杏
大阪の御堂筋のイチョウ並木から、銀杏(ぎんなん)が減っているのをご存知だろうか。イチョウ並木は大阪のシンボルでもあり、秋になれば、多くの銀杏の実がなる。銀杏を拾う人の姿も多く見られたものだが、銀杏の放つ悪臭などが敬遠され、このイチョウが今、実のならない雄木(実がなるのは雌木のみ)に植え替えられているという。かつて400本ほどあったとされる雌木だが、大阪市の「御堂筋イチョウデータ」によると2013年9月の時点では256本となっている。葉がすっかり落ちたこの時期、また何本か植え替えられるようで、関係者は「御堂筋のイチョウは、今年もこれから5本の植え替えが決まっています」と話す。将来的には御堂筋から銀杏が消えてしまわないのだろうか。 【拡大写真と動画】御堂筋より古い歴史 大阪ガス「ガスビル」壁面タイル使用枚数は265万枚
御堂筋のイチョウはウエスト30センチくらい
大阪市中心部を南北に縦断する御堂筋のイチョウは「扇町公園事務所」(所轄行政区:大阪市北区・同福島区・同此花区)と「大阪城公園事務所」(所轄行政区:大阪城公園を除く同中央区・同西区・同浪速区)とが維持管理をしているという。 そこで、扇町公園事務所に問い合わせると「基本的に腐朽したものや倒木の危険のあるものを撤去し、植え替えをしています。その際には実のできない雄木を植えています。当事務所で管理している御堂筋のイチョウは現在161本、雌の木は50本です。先月も1本、植え替えました。作業は夜間にやっていますので。昼間は交通量が多いですからね。だから知らない人が多いと思います」(街路樹担当職員)と、教えてくれた。 さらに、御堂筋のイチョウは他の道路のイチョウに比べ、一回り大きいものが植えられており、「一般的な街路樹のイチョウはウエスト20センチのものが大半ですが、御堂筋のイチョウはウエスト30センチくらいのものを植えています」とのこと。
植え替えは1年に数本から数十本単位
一方、「大阪城公園事務所」でも、植え替えは進んでいるそうだ。事務所職員は「こちらで担当しているエリアで、今年はこれから5本を植え替えることが決まっています。すべて雄の木を植えます」と話す。 御堂筋は1937年に完成し、イチョウの植栽は1933年から始まった。イチョウ並木は「近代大阪を象徴する歴史的景観」として大阪市指定文化財にも指定されている。ところが、銀杏の実は地面に落ちると、強烈な臭いを放ち、通行人や周辺の店舗から苦情が絶えず、また車がスリップする危険性も指摘されていた。 そのため、大阪市では昭和50年代から、倒木の恐れなどを理由にイチョウを植え替える際には、雄木を植えているという。植え替えは1年に数本から数十本単位。ただ、イチョウの雌雄は外観からは区別がつきにくいため、変化に気づく市民はほとんどいないという。